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敏洋’s 昭和の恋物語り

ごめんね…… (十六) 

2018年04月10日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 新一くん、元気ですか。

 突然にこんな手紙が届いて、さぞかしびっくりしただろうね。
考えに考えたあげくのことなんだ。君
にだけは、ぼくの気持ちを分かっていて欲しくて。
母さんに話しても、多分泣くだけだろうと思うんだ。

 いや、本音を言えば、母さんには知られずにいたいと思う。
こんな弱いぼくだなんて、絶対に知られたくない。
 お願いだ、新一くん。母さんには内緒にしていて欲しい。

 覚えているかい? 勿論覚えているよね、あのへび女のこと。
あの件で、唯一の親友だった君を失ってしまったんだ。

 君のひと言はこたえたよ。
そんな風に考えていたなんて、ぼくにはほんとに思いもかけぬことだったから。
 一時はね、君を憎んだりしたんだ。なんて言ったか、覚えてる? 
案外、覚えていないかもね。

「ぼく、帰る。こんなの、やっぱり変だよ」
 って、怒ったように言ったんだ。
そしてさっさと一人で帰ってしまったんだぜ。
分かる? その時のぼくの気持ち。
自分の馬鹿さ加減に腹を立てていたんだ。
冷静に考えれば、へび女なんて存在しないことぐらい、すぐに分かりそうなものなのに。

 いや分かっていたのかも、案外に。
君と別れる淋しさが、あんな行動を起こさせたのかもしれない。

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