宗教日記

神とは 

2018年03月04日 ナビトモブログ記事
テーマ:宗教

キリスト教学者岩田靖夫さんの
「人生と信仰についての覚え書き」
という本を読んでいる。

学者という肩書だが、
岩田さんご自身も、もしかしたら
キリスト教徒であるかもしれない。
しかし、そうであるとしたらなおさら、
既存のキリスト教教義とは
全く違った見解をしていて興味深い。

私は、どんなに自由主義的な側にいるとしても、
クリスチャンの言い分や書いた本は、
最後のところでは相入れないので、
触れるのを憚っていたのだが、
「仏教とキリスト教は根本的な点で同じ」
と述べる岩田さんの見解には至極納得することが多い。

やや、愛の実践を押し付けている感がするので、
そこは受け入れ難いが、
旧約聖書やイエスの言葉の意味を
独自の視点で捉えていて、
その捉え方に、私はとても共感を覚えた。

そのひとつに「神」の考察がある。
「神」というと、普通一般には
拝む対象としての神を想定してしまうが
(キリスト教徒もこう考える人が多い)、
岩田さんは「神」について次のように説明する。

「さて、そこで、
よく宇宙の中とか外とか、言います。
神は宇宙の外にいて宇宙を支配している、
というイメージを人は持つことがあります。

それは、要するに
昔の人が考えたおとぎ話みたいなものです。
中だとか、外だとかというのは空間概念で、
空間というのは宇宙の中にしかないのですから、
神は宇宙の外にいるのではありません。

神はこの世界とは別の世界にいるわけではなくて、
我々の中に、この宇宙の中に、今ここにいるのです。」

とした上で、
さらに次のように述べる。

「宇宙の中にある万物はもちろん人間も含めて、
神がなんらかの形をとった
(インカルナチオ)ものなのです。

このインカルナチオという言葉は、
伝統的にはイエスについてだけ
キリスト教は言ってきたわけですが、
だから、イエスは代表的に神から生まれたものとして、
インカルナチオの先端にいるでしょうけれども、
他のすべての存在者も
神のインカルナチオ(身体化、具象化)だと考えても、
少しもおかしくはありません。

神は天地万物の創造主ですから、
宇宙は神のなんらかの現れである、ということです。
自分自身も他者も、こうやって展開していく宇宙も、
瞬間ごとに神を啓示している、
神のなんらかの現れなのです。」
(「人生と信仰についての覚え書き」p243~P245)


仏教でいうと「仏」とか「阿弥陀」に当たるのだろう。
こうした書物を読むにつけ、
真理は一つであるということをあらためて実感する。



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joybellさんへ

菜穂子さん

コメントありがとうございます。
教会へは通ってはいないけれど、信仰をもっていらっしゃる
とのこと。
自然に「内なる神」という考えに至られたとのこと、
教会の教義に染まっていないので、純粋に考えられるのかも
しれないなあと思いながら読ませていただきました。
キリスト教の教える「神」とは「内なる神」という概念も
含まれているのかもしれませんが、基本的には
自分や被造物とはかけ離れている存在、相対している存在
ととらえていると思います。

2023/10/15 21:29:39

興味深い話ですね

joybellさん

ぼくは教会へ日曜礼拝にも行かないクリスチャン(プロテスタント)です。
このブログに出会い興味深く読み始めています。
今まで宗教に関係する書物を聖書以外では読んだことがありませんがいつの間にか「内なる神」という考えになっています。
誰かから過去にそのように教えられたという記憶はありませんが。

2023/10/15 20:01:24

キリスト教

さん

キリスト教ですが、どちらの…
カトリックか、プロテスタントか
それによっても、導かれる教えは違ってくるのかと。
カトリックであれは、神父様
プロテスタントであれば、牧師様
母校はプロテスタントですので、牧師様の言葉を戴きましたが
『神は、あなたがた一人一人の心の中にある」と仰いました。
洗礼は受けていませんが…聖書は、ふと読みたくなります。
気持ちに迷いがある時、静かに考えたい時…寄り添ってくれます。

2018/03/04 10:49:08

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