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敏洋’s 昭和の恋物語り

[宮本武蔵異聞] 我が名は、ムサシなり! (八) 

2017年04月30日 外部ブログ記事
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 しかしムサシはまるで動じない。
不気味なほどに落ち着きはらっている。
梅軒には初めての経験だ。
梅軒の手には鎌がある。
ムサシに近付いたところで、いつものように鎌を払えば良い。
ムサシの腕なり体なりに傷を付ければ、それで勝負は決するのだ。

―なぜこの男は動じないのだ。
いや、内心は恐れおののいているはずだ。
気取られぬように平静さを見せているだけだ。
いつものように、このまま追い込めばいいのだ―

 気を取り直してじりじりと近付いていく。
しかしそれでもムサシの表情は変わらない。
いや、薄ら笑いさえ浮かべている。
と、思いもかけずに、刀にからめた鎖をムサシにグイと引っ張られた。
たまらず梅軒が大きくよろめいた。
梅軒には、これ程に力の強い者との闘いの経験がない。

 ザワザワとすすきが揺らぎ一陣の風が二人を包んだ。
ほんの一瞬のことではあったが、思わず目を閉じてしまった梅軒は背筋に悪寒を感じた。
負けた、と観念した梅軒だった。
が、ムサシもまた目を閉じていた。
二人の間合いが二間となった時、突然にムサシが梅軒に刀を投げつけた。

「武士の魂である刀を投げ捨てるとは‥‥」
 梅軒の呻き声が言い終わらぬ内に、ムサシの素手が梅軒の喉に食い込んだ。
ムサシの動きに、何の対処もできぬ梅軒だった。
鎌を奪い取ったムサシは、一気に喉を掻き切った。
ドクドクと溢れ出る鮮血が乾いた大地に吸い込まれていく。
一瞬のためらいもなかった。

 横たわる梅軒から懐中物を取り出したムサシは、梅軒の往生を願うように片手でもって
「死にゆく者に不要な銭、生きる者が頂こう。
南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経…」
と骸に念じた。

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