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吾喰楽家の食卓

バレ噺 

2017年03月20日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

一昨日、演題の写真を見て、共通点に気がついた方は、かなりの落語通だと思う。
今回の中席が、バレ噺とは云えない軽いものを含め、下ネタが揃ったのだ。
新作落語の『英会話』は、唯一、それを含んでいない。
しかし、冒頭で妻が夫を起こす場面は、妙に色っぽかった。
この日の傾向に合わせ、わざとそのように演じたのかも知れない。

隼町にある国立演芸場に通い始めて、先月で三年目に入った。
その間、ここで落語を楽しんだのは、六十回を超える。
平均すると、月二回半の頻度になる。
頻繁に行っているのに、一日の高座で、これだけ下ネタが揃うのは初めての経験だった。
客の中に、子供が居なかったからかも知れない。

   *****

■立川吉幸『元犬』
師匠の談幸に従い立川流を脱退し、落語芸術協会に入会した。
そして、前座からやり直し、現在、二ツ目に戻っている。
元犬は、前座や二ツ目が、よく高座に上げる噺だが、経験が長いだけに上手だ。
犬が人間に生れ替わる場面は、下ネタの雰囲気があった。
バレ噺ではないと思うが、口演の仕方で、それらしくなるのだろう。

■笑福亭里光『弥次郎』
里光の師匠は上方落語の鶴光で、師弟共々落語芸術協会でも活動している。
ほら吹き男の噺だ。
大猪の背に乗り、急所を握り潰して退治するとは、何とも悲惨。
とどめに腹を裂いたら、子供が十六匹出て来るのは、シシ十六という洒落である。
オスの腹から子供という、まことに乱暴な筋立てだ。

■瀧川鯉朝『英会話』
名前から、鯉昇の弟子だと想像出来た。
古典落語と新作落語の、両方こなすらしい。
今回の演題は、柳家金語楼が書いた、新作の一つだという。
英会話が話題の中心だから、古典落語とは云えないが、その味わいを感じる噺だ。
新作にありがちな、軽薄さがない。

■立川談幸『町内の若い衆』
談志の唯一の内弟子経験者で、一時期、寝食を共にしている。
マクラの中で、数回、クスグリを入れると、客席から、大爆笑ではないが、じわじわと笑いが押し寄せて来た。
この噺は、言葉の遣い間違いが、オチである。
新築祝に来た職人に、親分を誉められた女房が、「町内の若い衆が、寄ってたかって、こさえてくれたようなもんです」と、謙遜した。
それを真似した、妊娠している職人の女房が、「町内の若い衆が・・」と云ったから、大変。

■三遊亭圓遊『蛙茶番』
素人芝居で、舞台番(場内整理係)を仰せつかった男の噺だ。
下帯を締め忘れて、着物の裾をまくったから大騒ぎ。
忍術の場面で、青大将と見間違えたガマは、怖くて舞台に出られない。
戦時中に指定された、禁演落語五十三種の一つである。
この日の夜、テレビで見た『幡随院長兵衛』(芝翫)に、舞台番が登場した偶然に、少し驚いた。

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写真
3月19日(日)の昼餉と夕餉



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