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敏洋’s 昭和の恋物語り
[舟のない港](九十)
2016年07月30日
テーマ:テーマ無し
「それじゃさ、高原に行こうよ。
あたいは、北国の生まれでね、家のすぐそばに丘があったんだ。
そこに行くまでの道ばたにはね、いろんな木が植わっているんだよ。
ポプラでしょ、プラタナスでしょ、それにいちょうも。
牛が放牧されててね、広い野原に放し飼いされてるの。
声をかけるとね『モオー』って返ってくるんだよ。
小さい頃、いつもその丘で遊んだの。
犬がいたんだけど、一緒に走ったんだ。
楽しかったんだよね。
だから、久しぶりに行ってみたい。
ねえ、行こうよお、行こうよお!」
娘は男の肩を揺さぶった。さながら、父親に甘える子供であった。
「わかった、わかったよ。よし、行こう」
男には、田舎暮らしなどまるで経験のないことだった。
コンクリートに囲まれた生活を送った男にとって、原っぱといえば家と家に挟まれた空き地ぐらいのもので、牛の代わりに古タイヤやら遺棄された家電製品が転がっている場所にすぎなかった。
田舎を故郷に持つクラスメートが羨ましく思える小中学生時代を送った男だった。
娘は、飲みかけのレスカもそのままに「早く、早く!」と、男を急かせた。
「丘は、逃げないよ!」と言っても、娘はとに角急かせた。
余ほど嬉しいらしくレンタカー内での娘は、笑い転げていた。
とに角、見るもの全てに笑い転げていた。
そんな陽気な笑い声に、男は昔のミドリを思い出した。
見るもの全てに喜怒哀楽を体現し、触れるもの全てに感動していたミドリだった。
そして何より、よく笑った。
その笑顔が、男には眩しかった。
高原に着くと、娘はすぐに車から飛び出した。
昨夜のことが嘘のことに思えるような、はしゃぎ方だった。
娘の素顔は、クリクリとした目が印象的だった。
団子鼻も、可愛らしく思える。
昨夜のことが、信じられない。
あの、時折垣間見せた妖艶さなど微塵もない。
夢だったのか、と錯覚さえ覚えてしまう。
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