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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港](八十三) 

2016年07月22日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「やっと、君の言葉に返ったね。
どうも、今までの君の言葉は固苦しくていけない。嬉しいよ」
「あら、ほんと。久しぶりだわ、こんな風に気軽に話すのは」

 小ぢんまりとした一室に二人は居た。
いつしか、恋人時代の二人に戻っていた。
麗子は、男の肩にしなだれかかりながら、今までは肩肘をはっていたのねと、久しぶりに心のゆとりを感じていた。

「どう、今の生活は?」
 男にしてみれば、社交辞令のようなものだった。
しかし麗子には、痛烈な批判の言葉に聞こえた。

「どういう意味なの!」
キッと、男を睨みつけると体をなおした。
あまりの剣幕に、男はたじろいだ。

「いや深い意味はないよ、そんなに尖るなよ。
そういうところは、昔と変わらないな。

安心したよ、確かに麗子さんだ」
 麗子は、男に他意がないことを知ると、また身体を男に預けた。
「麗子‥‥」

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