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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (七十四) 

2016年07月12日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 薄寒い秋の夕方、ミドリは信じられない光景を見た。
街路樹の葉は刈り取られ、身を縮込ませて立っているように、ミドリには見えた。
足下にまとわりついてくる枯れ葉が、ミドリの心をざわつかせた。

いつまでこんな生活が…
私の選択は…

思い切り頭を振って、なんてことを考えるの、と己をたしなめた。
私があの人を苦しめているのに、と己を責めた。

「ミドリさん、少しお疲れのようね。寝不足じゃないの? 
ひょっとして、旦那さまが激しいのかしら? 
ミドリさんは美人だから」

気の置けない美容師の言葉がー褒め言葉の言葉が、今日のミドリにはバラの棘のように触れてはならぬところに突き刺さった。
「そうなの、主人ったらね、」
こんなことで表情を変えるようでは夜の蝶は務まらないわと、にこやかな笑みを返しながら答えた。

その美容院の帰り道、何気なく見やった喫茶店のボックスに男と麗子の姿を見た。
麗子を知らぬミドリだったが、はっきりとわかった。
男の、その女性を見る目で直感したのだ。

いや、男の目の色がミドリに見える筈はなかった。
しかし、はっきりと感じられた。

 どことなくオドオドとした態度で落ち着かない。
タバコの火を点けては消し、また新しいタバコに火を点ける。
急わしなくコーヒーを口にしては、視線を外していた。

 ミドリは、見てはならないものを見てしまったように思え、足早に立ち去った。

「いいえ、あの人ではない。今はまだ、アルバイトの時間だ。人違いに決まってる」
そう言い聞かせながら、夜の戦場に急いだ。

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