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「かつて被爆の深潭に」 

2016年06月13日 ナビトモブログ記事
テーマ:俳句ポスト投稿

 最近、俳句作りがとみに盛んになってきているという話を聞く。それは、俳人、津軽わさおとしても、嬉しい限りである。

 そんな中、全国の俳句作りのサイトで最も熱気に包まれているのは、「俳句ポスト365」であろう。「俳句ポスト365」は、愛媛県の松山市が運営する俳句の投稿サイトだ。

 「俳句ポスト365」では、入選が「天、地、人、並」に分かれる。入選の「天、地、人、並」の内訳は、各回、天の俳句1句、地の俳句9句のほか、大体、人選の俳句200句、並選の俳句300句だ。

 人選と並選の入選句といえども、全体3,000句程度のたった17%にすぎない。

 天・地の俳句になると、全体3,000句の中で10句だ。これは、至難中の至難である。津軽を拠点とする俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による天・地の俳句への挑戦は、これまで18回を数えるが、まだ天・地の俳句に入ったことはない。


 直近の「俳句ポスト365」の第146回 2016年4月28日週の兼題は、「蜻蛉生る(とんぼうまる)」である。兼題の説明に曰く。

蜻蛉生る(夏の季語)「とんぼうまる」。蜻蛉の幼虫は「やご」といわれ、水中で数ヶ月〜1、2年を過ごすが、このやごが羽化し、成虫になることをいう。

 兼題「蜻蛉生る」に係る天選1句と地選の9句を以下に掲げる。

 蜻蛉生るたちまち空は立体へ 矢野リンド  天選
 

 蜻蛉生るさいしょに見たのは雲でした さな(4さい)   地選

 ちちいろにうまれてたけきとんぼかな クズウジュンイチ  地選

 これが風というものだろか蜻蛉生る うしうし 地選

 蜻蛉生れ損なひ風に吹かれをり  スズキチ  地選

 生れ損ねたる蜻蛉を亀が喰ふ ポメロ親父   地選

 蜻蛉生る黒き目玉のやうな沼   樫の木  地選  

 蜻蛉生るかつて被爆の深潭に えらいぞ、はるかちゃん! 地選

 蜻蛉生る青いトマトの匂ひして  トポル   地選

 牡牛座に生まれ蜻蛉は戸惑つた  葦信夫  地選

 そして、以下に掲げるのは、俳句集団「宇宙(そら)」のメンバー5人による人選4句と並選2句である。人選4句と並選2句だから、俳句集団結成後9か月弱の初心者集団としては、大健闘である。

 蜻蛉生る津軽平野の水鏡  津軽ちゃう  人選

 富士を這う清き水脈蜻蛉生る  篠田ピンク  人選

 学校の午餐の鐘や蜻蛉生る  篠田ピンク  人選

 白球の飛び入る田圃蜻蛉生る  野々原ラピ 人選 

 蜻蛉生る保育の園は伸びらかに  津軽わさお 並選
  
 ここは東京ビルの谷間に蜻蛉生る  津軽まつ 並選


 以上のように、天・地の俳句と人選・並選の俳句を並べてみると、違いがある。
 
 どこが違うのか。天・地の俳句は、着眼点が独特であるし、表現の仕方がいい。それによって、読者が感じるなるほど感と味わいが深い。

 だから、いい俳句を作るポイントは、できるだけ独特な着眼点で、できるだけいい表現で、できるだけ読者のなるほど感と味わいを深めることにある。

 「俳句ポスト365」の選者にして、今をときめく俳人、夏井いつき先生のお使いになる表現をお借りすれば、天・地の俳句は、「発想のオリジナリティと描写のリアリティ」に優れ、「上質な詩になっている」、ということであろう。



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