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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港](二十四) 

2016年03月30日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



それから何回かのデートを重ね 、その度にホテルで情交を重ねた。
相変わらずの麗子主導だった。
次第におざなりになり、奉仕活動のようなセックスに、男は苛立ちを感じていた。

それ故ということもないのだが、両親への挨拶については話題にのぼらなかった。
麗子にしても、身体を許したという安心感からか、口にすることはなかった。
それよりも、男とのセックスに没頭していた。

美容院で、素知らぬ顔をしながらその類の記事を読み漁った。
エロ小説まがいのことができるか! と、反発しつつも 、ヒステリックな麗子の剣幕に圧倒されるのがおちだ。
結局は、麗子の言うままだった。
ますます、男の気持ちの中に、早まったかという思いが募っていった。

今夜の麗子は、いつもの麗子ではなかった。
いつになく不機嫌だった。
フロントの勘違いに 、激怒した。
予約を入れていた筈の部屋が取れていないと 、言われたのだ。
麗子自身が予約を入れたのである、明らかにホテル側のミスだとなじった。

結局、そのフロントマンの名前の聞き違いによるミスだった。
「佐藤」を「加藤」と聞き間違えて、予約がないと答えたのだ。
チーフフロントマンが謝ることにより、その場がようやく収まった。
確かに、麗子らしいと言えば言えるのだが 、その怒りようは尋常ではなかった。
遅れて着いた男が 、恐縮して謝るはめになった。

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