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敏洋’s 昭和の恋物語り

にあんちゃん 〜大晦日のことだ〜  

2016年02月22日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 中庭での日光浴の時間のときだ。

ぽかぽか陽気のもと、十人ほどが集まっていた。
口々に次男をと、職員たちにねだっている。

「あの子は介護士じゃないから、だめなのよ」
 何度言っても収まらない。
日光浴を拒否するものすら出てきた。

「気持ちいいのよ、お日さまに当たると。それに…」
“夜をしっかりと眠ることができるのよね”

 口にはできない本音があった。
夜中にバタバタと走り回ることは、できるだけ避けたかった。
一人が騒ぎ出すと、必ず伝染してしまう。

 やむなく遊び相手ならということで次男が中庭に呼ばれて、ボール遊びに興じるのが常だった。

「ほら、中島のばあちゃん。しっかりと取れよ」
「森のばあちゃんも、ちゃんとボールを見ろよ」
「こら。伊藤のじいちゃんは、よそ見してちゃだめだろうが」

 熱中してくると、次男の声が次第にぞんざいになってくる。
入居者たちは嬉々として、次男に叱られることを受け入れているのだが、家族にはそうは見えない。

「あの若い、茶髪の男性はどうなんですか」
「ヘルパーでも、介護士さんでもないというじゃないですか」
 ちらほらと苦情の声が上がり始めた。

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