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至福の25時間 

2015年11月21日 ナビトモブログ記事
テーマ:シニアライフ

私は名古屋から、ヴァイオリンの友人は品川から、それぞれ新幹線に乗って熱海で合流。

其処から、踊り子号で12時8分に伊豆高原駅に着くと、改札口の外では、招待主であるピアノの友人が手を振って迎えてくれた。

今回もまた、ピアノの友人の別荘で、女子会を企画してくれたのだ。


そして、会うなり「お昼は、何が食べたい?」と訊く友人に、「自由に選べるなら、お蕎麦が良い」と、私は答えたのだった。

ナビ友さんたちの、お蕎麦の話題ですっかりお蕎麦ロスに陥っていたし、前回来た時の美味しいお蕎麦屋さんの記憶も刷り込まれていたので・・。

そして、その時から、私たちの至福の時間が始まった。


友人が伊豆に別荘を購入したのは昨年だけど、釣り好きのご主人と共に、その土地にはもう30年も通い続けているそうで、お馴染みのお店も沢山あるのだという。

「夜は、エビフライの有名なお店に行こうね」と、お蕎麦を食べながら、既に夕食の計画を話してくれる笑顔の友人。


ヴァイオリンの友人は、野菜のソムリエの資格を持っていて、長野の別荘地でたくさんの野菜を手作りしているそうだ。

私の知らない野菜や、特別に取り寄せたというモンドールという名のチーズなど、色々珍しい手土産を持ってきていた。


ピアノの友人は、ご実家が名古屋なので、私は当地の和菓子を持参したら、賞味期限の短いこの商品は冷凍できるのだと教えてくれる。

一緒に持参した戴きものの赤ワインは どうやら高名なブルゴーニュだった事が判明。


今日まで、どんな時間の使い方をしてきたのか、二人ともやたら物知りなうえに、貪欲に物事を探し求めている様子には、圧倒される。

まあ、私はおこぼれに与って、美味しいものを堪能したのだけれど。

一番気に入ったのが、レバーソーセージ。

これは、製造会社名を覚えてきて、帰宅後さっそくネットで検索した。


その日は雨が降っていたので、海は全く雲のかなたに隠れてしまっていたのだが、それが却って霧深い高原を描いた山水画の様にも見えて、中々味わいのある景色であった。

夕方少し早めに、強い雨の中を、ピアノの友人の運転で、エビフライのお店に行った。

余り飲む方ではないとは言え、招待してくれて、運転してくれて、しかも、「構わずに飲んでね」と、私たちに言ってくれる優しさ。

そして、簡単に図に乗る、呑兵衛二人。

其処のお店は、エビが美味しいだけではなくて、特別なパン粉効果が素晴らしい。

更に、地元ならでのお刺身の美味しさで、しばしの時間、誰の口からも言葉が出ずに、沈黙が続いた。


大抵毎晩夕食時にはお酒を飲む、と私が言うと、「わあ、かっこいいね。大人、という感じで・・」と、これはヴァイオリンの友人の言葉。

唖然として、「えっ?どういうこと?」と訊くと、

「夕食で飲んじゃうと、夜はもう練習ができなくなるでしょ。私なんか、まだ子供気分が抜け切れてないからね。もっと上手くなりたいと思って、練習しちゃうから・・」その言葉が、全く気障に聞こえてこない。

「旅行に出たり、側にヴァイオリンがない時のために、練習用の木の棒を持ち歩いているのよ」と又、理解の難しいことを言う。

翌日、見せてもらうと、東急ハンズで木を買ってきて、かんなで削って、ヴァイオリンの指板の様な形を自分で作り、それを持ち歩いて、何処にいても指の練習をするのだという。


ピアノの友人は、イギリスに長く住んでいたので、入れてくれるお紅茶がとても美味しい。

幾つかの茶葉をミックスするのだという。

まさに、ブレンドである。


ウェールズで買ったという、ポットにかぶせるティーコージーも可愛らしく、それを見ながらヴァイオリンの友人が「私は、真似して自分で作ったのよ」と言う。

呑兵衛仲間かと思っていたのが、勘違いだった上に、更に手芸までするのか・・。

飲んでいる合間にも、気づくと率先して、お茶碗を洗い、お布団を運び、切った野菜をあく抜きの水につけ、家事にも怠りない。


その間私はと言えば、ピアノの友達に、健康食品の指南を受けたり、英国の風習を訊ねたり、でんと座ったまま命の洗濯に余念がない。

彼らは旦那さまも音楽家で、ずーっと音楽界で人生を送り、経験を重ねてきたのだが、私は全く異なる社会の旦那様と共に生活してきたので、彼らと一緒にいると、ウィーンで留学仲間だった頃に、たちまちワープしてしまうのだ。

彼らの知識に驚き、彼らの話題に目を輝かせ、彼らの音楽仲間のニュースに耳を傾けながら、真の意味での子供から抜け切れていない新鮮さで、楽しい時間を過ごしたのだった。


翌日は、朝早く目覚めて、窓のカーテンを開けると、曇り空の下になんと、大島が全景を現していて、その右手には利島、新島、式根島とかすかに眺めることができた。

時折雲の合間から射してくる太陽の光線が、あたかも宗教画の様に輝いて、しかも、雲の動きが早いので、その様子が刻々と変化して、海に反射したり、雲に光線が当たったり、様々な様相を披露してくれたのだった。

ピアノの友人の作ってくれた、朝食を楽しみながら、様々なおしゃべりが続き、これぞ女子会、という気分を満喫。


その日は、13時過ぎの電車に乗る前に、再びお蕎麦屋さんののれんをくぐった。

江戸前のお蕎麦を、気の向くままに味わい、駅まで送ってくれた友人が言った。

「昨日から、たった25時間しかたってないのよねえ」


それは、実に濃密で、至福な25時間であった。



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「○○会」は楽しいですね

シシーマニアさん

喜美さん、コメントありがとうございました。

私には、久々の会でしたが、喜美さんは、「○○会」には、事欠かないでしょうね。
きっと、周りに吸引力を与えていらっしゃるのでしょう。

ナビ友さんたちのブログを読みながら、楽しそうなご様子を目に浮かべています。

2015/11/23 12:53:56

吾喰楽さんは、助っ人です

シシーマニアさん

吾喰楽さん、コメントありがとうございました。

勿論、貴ブログが「お蕎麦への回帰」に対する、素晴らしいきっかけです。

決して、お蕎麦だけに限りませんけれど。

翌日のメニュー作りでも、いつも助けていただいています。

2015/11/23 12:51:18

いつも、ありがとうございます。

シシーマニアさん

パトラッシュ師匠、コメントありがとうございました。

書いてくださった事を、ずっと頭に浮かべながら過ごしていました。


>作者が楽しいと、読者も楽しい。
>(奏者が楽しいと、聴者も楽しい)

この言葉は、蜜の様に甘い響きで、つい負けてしまいがちですが、本当に実行できたなら、プロと言えるでしょうね。

2015/11/23 12:48:13

女子会

喜美さん

楽しかったご様子 目に浮かびます
私の歳では女子会と言えないでしょうけれど仲良しと集まり気分よく話 食べる こんな楽しい事ありません何回もしたいですよね

2015/11/21 14:04:11

依存症

吾喰楽さん

おはようございます。

お蕎麦ロスに陥った一因は、私にもあるのでしょうか?
私の場合は、依存症かも知れません。
今年になって、昨日までに113回、蕎麦を食べています。
今日の昼餉は、蕎麦にするか、パスタにするか、思案中です。

至福の25時間、充分に伝わりました。
こちらまで、楽しい気分になりましたよ。

2015/11/21 09:57:46

持論

パトラッシュさん

招かれたら、遠慮なんぞしない。
運転でも何でも、任せてしまい、こっちは気兼ねなく飲む。
それが招待主の喜びでもあるはずだ。
と言うのが、私の持論です。
(食器の片付けくらいは、やりますけどね)
(家では縦のものを横にもしない私が)
これを、つい先日も、やって来ました。

その代り、逆の立場に立ったら
(と言っても、招くべき別荘なんて、ないのですが)
歓待せずにゃおかないよ・・・と心に期すものもあります。

夕食時に飲む。
これが後の作業(練習)に影響するのは、violin嬢のおっしゃる通り。
私の場合はwritingですが、やはり、素面の時のようには、行きません。
しかし、酔って行う作業にも、時に意外な効果が・・・
緻密さは当然欠けるのですが、きっと、気が大きくなっているからでしょう、
意外に閃いたりもするのです。
だから、行き詰っている時など、わざと夕食時に、飲んでしまうこともあります。

作者が楽しいと、読者も楽しい。
(奏者が楽しいと、聴者も楽しい)
「これぞ女子会」の一部始終、楽しく読ませて頂きました。

2015/11/21 09:35:00

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