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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十九)「ぅぅ‥‥」 

2015年11月04日 外部ブログ記事
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「ただいまあ」
玄関の引き戸を開けながら、母親の出迎えを待った。

しんと静まり返った中からは、まるで人の気配がしない。
そろそろ陽も陰り始めている。

首を傾げつつ、奥の台所に向かった。
庭に面したガラス戸が開け放たれている所を見ると、外出をしているわけではないように思えた。

もっとも、田舎町のことだ。
開け放したままの、買い物はあり得る。

とは言うものの、茂作の姿さえ見えない。
客間も開けてみたが、キチンと片付けられている。

「ただいまあ!」
もう一度、大声で叫んでみた。

「ぅぅ‥‥」
徴かではあるが、どこかで声がする。

茂作の、絞り出すような声だ。
慌てて台所に駆け込むが、見当たらない。

冷蔵庫が開け放たれていて、床に野菜類が散らばっている。
何ごとが起きたのかと、仏間やら奥の部屋やらと探してみるが、小夜子はもちろん茂作もいない。

徘徊、という言葉が浮かんだ。
「意外にですねえ、お年寄りとはいうのは元気なものです。
特に、痴呆状態に入ったお年寄りは、若いころのご自分に戻られていることもあり、もちろん肉体的にと言うことではなく精神的にということですよ。
ですので、思いも寄らぬ距離を歩かれるものです」

浅田の授業が思い出された。
学生たちが退屈し始めるころに決まって、脱線して話し始める。

「ぅぅ・・」
先ほどより弱々しい声が、聞こえた。
耳を澄ませると、どうも庭の方から聞こえてくるような気がした。

「お爺さま…お爺さま…」
庭先で声をかけた。

「どなたか…どなたか…」
か細い声が聞こえてきた。

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