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少年H 

2015年08月31日 ナビトモブログ記事
テーマ:ドラマ

映画ファンの皆さん、おはようございます!

今日の映画紹介は「少年H」。
BS朝日で2015年8月31日(月)21:00〜の放送。
2013年8月に見た時の感想文です。
以前、紹介しているので再掲です。

原作は妹尾河童の自伝的小説。
この小説が出版された時、内容について、
児童文学作家の山中恒が「自伝」ではないと
論争になったことを記憶された人も多いでしょうね。

フィクションかノンフィクションかはさておいて、
終戦記念日に沿った映画です。
これはある家族の物語。そしてすべての人の物語。


H少年が1941年から1946年迄の5年間を
家族、友人、親戚、近所の人達と
自分の住んでいる神戸という街を場所として、
戦争という過酷な出来事を通じて、
どのようにして幼年から少年と成長していったのか
ドキュメンタリー風にまとめた映画。

キャッチコピーは
”すべてを失ったあの夏、我が家の未来が始まった。”
”いま、あなたに伝えたい。
戦争を生き抜いた「名も無き家族」の愛と真実の物語。”

昭和16年、春の神戸。
洋服仕立て職人の父・盛夫(水谷豊)、
キリスト教徒の母・敏子(伊藤蘭)、
妹の好子(花田優里音)と
四人家族で仲良く暮らす肇(吉岡竜輝)は、
胸にイニシャル「H」が入ったセーターを
着ていることから エッチというあだ名が付いていた。
好奇心旺盛で曲がったことが嫌いな肇だった。

盛夫は外国人の顧客を多く持っていたが、
彼らは戦争が近づくと次々と帰国。
そして彼自身はスパイ容疑で連行され
厳しい尋問を受けるのだった。

彼が怪我をしながら帰宅して息子に言う。
”何を我慢しているかはっきり知っていたら
我慢できる。戦争はいつか終わる。
その時恥ずかしい人間になっていたらあかんよ。”

そんな中、レコードを聴かせてくれて
優しかった近所のうどん屋の兄ちゃん(小栗旬)が
政治犯として警察に逮捕されたり、
元女形の舞台俳優で映写技師の
オトコ姉ちゃん(早乙女太一)に
召集令状が送られて来るが、
逃亡して大騒ぎになったりと
だんだんと戦時色が濃くなって来る。

中学に入ったHは軍事教練ばかりか、
好きな絵を描いた画集を持っていただけで
田森教官(原田泰造)から殴られたりして
厳しい学校生活をおくる。
生活の為、父も仕立て屋を辞め、消防員になる。
母は隣組の班長に、妹は田舎に疎開していく。

ついに神戸も大空襲を受け焼け野原に、
しかし彼等は生き残り、
焼け跡から商売道具のミシンを掘り出して
修理し新しい一歩を踏む出す。

ミシンを修理し終わった時に盛夫が息子に言う。
”この国を立て直すんはあんたらやで。”

平和な今だから、考えさせられる映画でした。
当時の神戸の街並みや家族の日常生活の
風景も自分の子供の頃を思い出して懐かしかった。
水谷豊と伊藤蘭夫妻の共演も良かったです。

監督は降旗康男。


付録。
ついでに2001年7月に読んだ読後感想も
付け加えておきます。

「少年H」がフィクションかノンフィクションかと
問われれば私にはフィクションと答えます。
どちらにしろ、この本はH少年が家族、友人、親戚、
近所の人達と自分の住んでいる神戸という街を場所として、
戦争という過酷な出来事を通じて、
どのようにして幼年から少年と成長していったのか
ドキュメンタリー風にまとめたものです。

子供は誰でも自分一人で成長したと思っています。
そうではありません、お父さん、お母さんが
一生懸命子供の面倒をみて巣立ちするまで
見守っています。

H少年も、彼の母や父がキリスト教を拠り所として
生きているのに理解しながらも、
どちらかというと反発しています。
しかし、いつも心の何処かに親の愛情を感じ、
感謝の気持を忘れてはいません。
(私も両親に感謝の気持を持つようになったのは、
そう遠い昔ではありません。)

彼にとって、この辛い時代を乗切れたのは
両親の愛情と周囲の暖かい人間関係に加えて、
「絵を描く」ことが好きだったからです。
多分、この才能というか趣味というか、
「絵を描く」ことによって苦しい時も悲しい時も又、
楽しい時も彼が生きていく支えになっています。
これがなければ、
彼の人生は途中で挫折していたかもしれません。

この本を読んでいて一番共感を覚えたところは、
彼が映画を好きだったことです。
私も子供の頃から映画が好きで、今でも大好きです。
昔の映画館は木の椅子で、
画面も白黒でいつもチラチラと雨が降っていましたが
「鞍馬天狗」「白馬童子」「笛吹き童子」など
見たことを懐かしく思い出します。
特に「ゴジラ」の第一作目も見た時の感動は今でも
忘れられません。
学校の講堂でも上映されるのも楽しみの一つでした。

と回顧に浸っているときりがありませんが。
この本はつらい、厳しい時代の回顧ですから、
ややもすると暗い内容になってしまいがちなのに、
作者は子供にも読んでもらう意図があるせいか、
どの章を見ても、緊迫したギリギリの文中でもどこか
ほっとする文章があり、深刻な気持にならず、
さらりと読むことが出来ました。

例えば、P131の焼夷弾の降る場面で、
”母親が裏庭に立っていて、
「消したわ。訓練と同じや!」”と自慢げにいった。
のように、悲しい、辛い、厳しい中にも、
どこかホッとする文があるので、 読むほうもホッとします。

この本を読めば、 誰でも共感する文章が何処かにあります。
苦しい生活環境にあっても、理解有る優しい両親と妹。
(両親に比べて妹に関する情報が少ないように思いますが)
人間誰も、一人では生きていけません、
家族、友人、仲間とか共同体があって生きて行けるのだと、
普段は考えることがないのですが、
この本を読んで再認識しました。

胸に「H.SHENO」の文字を編み込んだ
セーター。外国人の多い神戸の街でも、
昭和十二年頃にそんなセーターを着
ている人はいなかった……。洋服屋の父
親とクリスチャンの母親に育てられた、
好奇心と正義感が人一倍旺盛な「少年H」
こと妹尾肇が巻き起こす、愛と笑いと気の物語。

毎日出版文化賞特別賞学賞作。



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戦争に意義は無い

yinanさん

Reiさん、おはようございます!
”この戦争はなんなんや?”の言葉のように、
何のための戦争か、判らないですね。
戦争をするための理由は後から考えたものでしょう。

話は変わりますが、「明日こそは…」では、
創作の苦しみが伝わって来ます。

「曼珠沙華」が素晴らしい出来栄えだっただけに
先生はいつも、その作品を念頭において、
Reiさんの作品を評価しているのでしょうね。

厳しい言葉をかけたのも、
Reiさんに期待しているからでしょう。

それだったら、期待に応えて、
それ以上の作品を創り出して下さい。

一念発起!やれば出来る!
新しい作品に挑戦して下さい。

2015/09/01 07:33:05

いい映画

Reiさん

とてもいい映画だったと思います。
水谷豊のファンとしては、夫婦共演もステキでした。
悲惨な中にもユーモアがあり、それでいて、しっかりした主張もあり…。
やはり、平和が一番ですね!

2015/08/31 12:58:10

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