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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十五) 美味しいコーヒーだよ 

2015年07月29日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



二人を包む重苦しい空気を払いのけるように、会話が途切れたのを見計らって差し出された。
一旦外に出たマスターだったが、万が一にも修羅場になってはと裏口から戻っていた。

先日に話題にのぼった会話が気になっていた。
町内の噂話に詳しい三年ほど前に退職し、今は町内会長を務めている男が眉をひそめて話していた。

「知ってるかい、酒屋の娘っ子のこと。よりを戻したいって彼氏が来たんだよと。それでね、話がこじれちまって‥‥」
途端に声を潜めたため、その後のことを聞くことは出来なかった。
話の輪に加わりたいのだが、他の客の手前それもできなかった。

「さあ、美味しいコーヒーだよ。これを飲んで、元気をだしなさい」
「そうね。暗い話は、もう終わり! 
たけしさんは? 恋人、居るんでしょ? 
どんな女性? ちょっと、待って。当ててみましょうか。
麗子さんでしょう、私の後にバイトで入って来られた。
色々、たけしさんのことを聞かれてたらしいじゃないの。
凄く綺麗な女性で、スタイルも抜群だって? 
羨ましいなあ。私も早く、誰か見つけなくちゃ。
でもね、お見合いの話が結構来てるのよ。もう、目移りしちゃってね。
困ってしま…、ごめんね。ごめんね、少し泣かせて」

見る見るうちに、貴子の目から涙が溢れ出た。
その涙が、彼との別れを思い出してのことか、男性不信に陥った事柄からなのか、彼には判断が出来なかった。
むしろ、貴子自身が分からなかった。

「お兄さん、許してやんなさいよ。貴子ちゃんの一途さが、裏目に出たんだよ。
騙され易いんだ、この娘は。純真なんだよ、ホントに」
カウンターの中から、マスターが声をかけてきた。
弾かれるように彼は、その声の方向に顔を向けた。
人懐っこそうな顔立ちの中に、ひげを蓄えているマスターだった。

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