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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十三) 男らしくありませんよ。 

2015年05月20日 外部ブログ記事
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タケくんへ
元気でいることと思います。そちらは、どうですか? こちらは、まだ残暑が厳しいようです。
お母さんは、あなたを信じています。だから、二人で帰っていらっしゃい。
こそこそするのは、それこそ男らしくありませんよ。とに角、帰ってらっしゃい。母より                          
「どういうことだ? 信じていますだとか、男らしくないとか。
二人で帰って来いなんて、どういうことだ? 
牧子さんのことは、知らない筈なのに」

独り言を呟きながら、部屋をうろつく彼だった。
この一週間の間に起きた諸々の事は、彼を混乱させるには十分過ぎるものだった。
牧子との突然の別れだけでも、彼には耐えられない事実だった。
あれ程に憧れ続けた麗子にしても、燃え上がった貴子にしても、時間の流れと共に終わりを迎えていた。

思えば、傷ついたことも傷つけたこともある。
しかしその都度、母親を思うことによって癒されてきた。
その母親を失うかもしれない恐怖感を、今彼は抱いている。
「お母さん‥‥」
にこやかに微笑んでくれた、優しく胸に抱きしめてくれた、そんな母親を失ってしまう。
己一人に注がれる愛情を、独り占めしてきた愛情を失う。
手にした手紙に、大粒の涙が落ちた。
「帰ろう、帰らなきゃ」

変わりない故郷だった。
ゆったりとした時間が流れるその土地が、今は妙に腹立たしい。
彼に優しい筈の故郷が、彼を拒絶しているように感じられた。
彼は、この土地では余所者であることを思い出した。
小・中学と、虐められ続けた日々が、鮮やかに浮かび上がってきた。
高校時代は、彼が級友達との交遊を拒否した。孤独感に襲われた事も、多々あった。
しかしその度に、母親の愛情に包まれて慰められた。

時折すれ違う顔見知りの視線が、彼に突き刺さるように感じられた。
「こんにちわ」
「ああ、今お帰りかね」
いつもと変わらぬ会話なのだが、何か棘を感じる彼だった。
?何か、変だ?

そう感じはするが、それが何故なのか、彼には皆目検討がつかなかった。
突然に、彼の肩を叩く者がいた。
「よお! やっと、帰ってきたのか。あれっ! 一人か?」
「ああ、高木君か。久しぶり」
「うん、久しぶりだな」

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