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敏洋’s 昭和の恋物語り
長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十二) 暑いときに、熱い物を食べる
2015年05月10日
テーマ:テーマ無し
真理子よりの、短い文だった。
流れるような字体で、初めて見る真理子の文字だった。
「あの時に入れてくれたのか。だけど、何だって手紙なんか。まるで、永遠(とわ)の別れみたいな書き方をして」
彼は気にも留めずに、郵便受けの中に戻した。
今は空腹感が先に立ち、少し先のラーメン屋に気が行っていた。
夕方の六時を回っているとはいえ、照り返しの熱が激しかった。
治まっていた頭痛が、また彼を襲ってきた。
エアコンの効いた店内で、汗をかきながら熱いラーメンを食した。
「暑いときに、熱い物を食べる。これが、一番の健康法だ!」
吉田の持論に感化されたわけではないが、納得させられた彼だった。
もっとも、一番安い品がラーメンだということもありはしたが。
「いいねえ、若いってのは。年を取ると、暑い時に熱いものは食べられなくなるよ」
少し頭の禿げ上がった初老の男性が、声をかけてきた。
時折見かけることはあるが、話をした覚えはなかった。
彼は、苦笑いを浮かべながら、軽く会釈を返した。
「学生さんだよね? しっかり、勉強してよ。
ところでさ、バイトしてくんない? おじさん、紹介するよ」
何くれとなく話しかけるその男を、店の主人が窘めた。
「山さん。お節介がすぎるよ。その学生さんは、しっかりとバイトしてるって。あんたの汚い仕事なんか、手伝わないよ」
「なに言ってんだよ。缶集めだってまっとうな仕事さ。まっ、無理にとは言わないけどね」
首に巻いた薄汚れた手ぬぐいが、田舎の茂作を思い出させた。
ブツブツと独り言を唱えながら、思い出したように「ご飯をたべさせてくださいな」と、他人行儀に小夜子に声をかける。
そのくせ、訪ねてくる隣人には「めしを食わせてもらえんですわ」と、哀願する。
はては「この家には泥棒が…」と、わめき出す。
痴呆老人の初期段階だとは分かっているが、母である小夜子を思うと切なくなってしまう。
「いいのよ。もう、慣れっこだから」
笑顔を見せる小夜子に対し「母さん、ごめん」と、それが精一杯のことだった。
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