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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十二) 母親の不安 

2015年04月20日 外部ブログ記事
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「ねえ、先生。明後日だよ、楽しみだわ。
でね、おニューの水着を買ったの。どんなのだと、思う? 
お母さんには、内緒なの。勿論、お父さんにも。
お父さんなんか、卒倒しちゃうかも。
ふふふ。見てみる? いや、だめえ。お楽しみは、あ・と・で。
室内プールで泳ぎたいの。それから、映画を観て。それでもって、夕食ね。
おしゃれなレストランで、フランス料理なんかいいなあ。
そうだ。ホテルのラウンジがいいかな。
最上階で、夜景を見下ろしながら。ふふ‥‥、楽しみだ。
先生。ホテルだからって、『部屋を取ったよ』なんて、だめだからね。
でも、上手に口説いてくれたら、案外OKするかも。
どう、先生。自信ある?」

彼を横目で見ながら、一人ではしゃぐ由香里だった。
彼は、苦笑いをしながらたしなめた。
「こら、こら。大人をからかうもんじゃない。もっと、身を入れて勉強しなくちゃ。
そんなことを考えているなら、中止にするぞ」
「はーい」
ペロリと舌を出しながら、由香里は肩をすくめた。

「入りますよ」
ドアがノックされて、母親が入ってきた。
「さあ、一息入れてくださいな」
机を素早く片づけた由香里は、母親の差し出すコーヒーセットを受け取った。
「いつもすみません。夕食をご馳走になるだけでも、申し訳ないのに。気を遣わないでください」
彼は、頭を下げた。

「そうよ。お母さん、邪魔。いつも、乗ってる時にくるんだから。終わってからで、良いでしょ」
何かと理由を付けては顔を出す母親が、由香里には疎ましかった。
彼と二人きりの時間を、邪魔されたくないのだ。
しかし母親としては、彼を信じているとはいえ二人きりの時間が長くなるのは、心配ではあった。

以前にはあれこれと母親に問い質していた父親が、あの夜以来
「あの青年ならば、由香里を任せられる」
と、信頼しきっていた。
「御手洗さんなら、大丈夫ですよ」
と、答えていた母親だった。
それが、今では逆転していた。
由香里の気持ちが手に取るようにわかる母親ならばこそ、であった。

「はい、はい。ごめんなさいね。それじゃ、先生。よろしくお願いします。」
「大丈夫です。しっかり、勉強していますから。最近は、こちらがたじたじなんですよ。
ホントに、由香里ちゃんは頑張っていますよ」
母親の不安に気付いている彼だが、そのことを口にする訳にもいかなかった。
しかし彼にしてみれば、由香里は高二であり、やはり子供だった。
恋愛の対象になるはずもなかった

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