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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十一) 主の居ない部屋 

2015年03月28日 外部ブログ記事
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ボクちゃん、元気にしていますか?
まだ一週間だというのに、一ヶ月以上逢っていないような気がします。
淋しいです。きっと、ボクちゃんのことだから浮気したでしょうね。
それとも、我慢してくれてるかな?

痴呆の介護は大変です。母がダウンするのも無理からぬことです。
もっと早くに、短期間であっても帰省すべきだったと、反省しています。
ボクちゃんには悪いけれど、もう少し実家に留まるつもりです。
一ヶ月位になるかもしれません。

母の状態が思わしくないのです。入院が長引きそうなの…。
丈夫が取り柄の母なんだけど。それ程に、介護というのは大変です。
もっとも、三年以上になりますから。

お姉さんも早く帰りたいけれど、ボクちゃんとニャンニャンしたいけれど、我慢します。
そちらは、晴天続きだそうですね。
こちらは、大変ですよ。毎日、雨か曇天です。洗濯物が乾かなくて、閉口します。
何せ失禁の連続で、毎日たくさんの洗濯物が出ます。
幸い部屋数は沢山あるので、一部屋を乾燥室にしています。
ストーブを焚いているのよ。ビックリでしょ!

そうそう、お願いがあるの。管理人さんに連絡しておきますから、お部屋の換気をして欲しいの。
泊まってもいいのよ。うぅん、是非にも泊まってください。
お姉さんのことを忘れない為にも、そうして欲しいなあ。それじゃあ、また手紙を書きますね。                 

                           牧子より     

二週間ぶりの、牧子の部屋だった。やはりのことに、かび臭さが充満していた。
窓という窓を全開にして、外気をたっぷりと入れ込んだ。
主の居ない部屋は、どこか寂し気だった。
牧子の匂いに包まれるべくベッドに横たわる、彼もまたどっぷりと悲嘆の世界に浸っていた。

「一ヶ月か。長いなあ」
ベッドの上で、右に左にと転がりながら、牧子の匂いを追い求めた。
大きくため息をつきながら、先夜の耀子のことを思い浮かべた。

「浮気、しちゃったんだよなあ。そんなつもりはなかったのに、ランバーダだっけ。
毒気に当てられた。それにしても、官能的なダンスだった。
ポルノだよな、実際。あれじゃあ、どんな堅物でも落ちるよ。

でも、耀子さん。どういうつもりなんだろう。
『のぶこは、だめよ。どっぷりと、不倫にはまってるから』だなんて。
心配じゃないのかな? 女性というのは、あんなものだろうか。

ああもう、早く帰ってきてよお。
痴呆? そうだ。お母さんは、大丈夫だろうか。
この間の手紙では、『心配することはないですよ』って、あったけれど。
でも、いつもと違って、短い手紙だったよな。
やっぱり、疲れてるんだろうな」
誰にはなすでもなく、口から出ていた。

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