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第55回 昭和34年初春 英語教室の加禄先生 

2014年04月27日 外部ブログ記事
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中学入学後、英語教室に一緒に通っていた満喜子ちゃんが、お父さんの転勤で山口市に引っ越した。
淋しくなったが、後から加わった礼子ちゃんが明るくおしゃべりするので、英語教室は楽しく賑やかになった。
加禄先生が愉快な英語の詩や歌を教えてくれるので、学校の英語の授業より楽しい。
英文を読んだり、話すのが苦手だった私も、下手ながら声を出すようになった。
3学期の終わり頃、英語教室に行くと、私の「公園の絵」が額に入れて壁に掛けてあるので驚いた。
2週間前、敏春先生に誘われて行った隣の市の新聞社のスケッチ大会で、私が描いたものだ。
絵の教室に時々行っていたが、以前の絵を仕上げて欲しいという先生の期待にそわず、一緒に行った友達とおしゃべりばかりしていた。
日曜日に暇な私が、戸外のスケッチ大会であれば絵を描いて仕上げるだろうと、先生が誘ってくれたのだ。
ピクニック気分でおにぎりと絵の道具を持って出かけた。
以前描いた屋根の絵のように、マジックで木や葉やつぼみや石などを描き、日本画のように絵の具を部分的に置いていった。
しばらくすると、弁当の時間になったので休憩。
みんなでおしゃべりしながら楽しく食べて、気分転換になった。
その後、みんなの絵を見て回ると、頑張って仕上げに入っている。
私もやる気になって、残りの部分に色を付けてどうにか仕上げた。
今までより丁寧に出来たと思う。
「トンコが最後まで丁寧に色を付けて仕上げたから、特選に選ばれた。」と、敏春先生が笑顔で言ったのを思い出した。
「新聞にとしこ君の絵が特選と載っていたので、次の日新聞社に見に行ったんだ。気に入ったので、頼んで貰ってきた。」と加録先生が自慢げに話す。
中学生の参加者は少なかったし、私の絵は他の人のように、絵の具を全面に塗っていないので、珍しかったから選ばれたのではと思う。
ちょうどその時、高校を退職したばかりの加禄先生は、周りの人の薦めで市会議員に立候補したので、選挙活動が始まりとても忙しそうだ。
娘さんが、外でメガホンを持ち選挙応援の練習を始めていた。
そんな中、先生が私の絵を見に行って、貰って来てくれたことがとても嬉しい。
加禄先生を大好きになり、英語も好きになった。
3学期の終業式の日、通知票を開いて見ると、1・2学期と2点だった図工の点が、今度は5点になっていたので驚いた。
「スケッチ大会で特選になったから、図工の先生が5点にしちゃったと思うよ。」と母が言う。
スケッチ大会に図工の教師は来ていなかったから、私の絵を見ていないはずだ。
それなのに、5点を付けるなんてなんだか変だ。
私は、図工の教師を好きになれなかった。
加禄先生は、市会議員に当選し段々忙しくなり、教室が続けられなくなった。
私は休まず教室に通っていたのに、がっかりだ。
次の選挙でも、先生は議員に選ばれ、英語教室が再開されることはなかったので、とても残念だった。

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