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第54回 昭和33年冬 礼子ちゃんに誘われて 

2014年04月25日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


中学1年の恥ずかしいことが起こった後、静かになった私を気遣ってか、同じ組の礼子ちゃんが親しくしてくれる気がする。
6年の時、日曜学校で劇を一緒にしてから仲良くなったが、中学に入ってから英語教室に一緒に通うようになり、休み時間おしゃべりに花がさく。
彼女はおしゃべりの上に、とても早口でしゃべることが出来る。
話題は教師のことが多いが、身振り手振りで話すのでおかしくて笑ってしまう。
私もおしゃべりになるが、彼女の早口には及ばない。
彼女は英語の教科書も早口で読み、英会話もとても上手に聞こえる。
12月に入って、「3年生にかっこいい人がおって、好きになったんよ。クリスマスプレゼントを届けたいから、ついて来てね。」と礼子ちゃん。
「すごい!」と、私はびっくり。
3年生の教室に着くと、彼女は男子グループの数人に、挨拶をして話しかける。
みんなと友達のようで、ニコニコと早口でしゃべっている。
背が高くて色白の一人に、クリスマスプレゼントを渡した。
「またね。」とみんなに手を振っる姿に、私は驚くばかり。
「としちゃん、好きな人いるん?一緒について行っちゃげるよ。」と礼子ちゃん。
「いない。いない。」とあわてて応えた。
彼女は残念そうな顔で、「好きな人が出来たら教えてね。」と言う。
私は授業中は教師の話を気を付けて聞かないと、聞き間違ったり、勘違いがあるので、注意が必要だ。
休憩時間は、礼子ちゃんとのおしゃべりで忙しいし、それに便所に行くことを忘れないようにしなければならない。
授業が終わってからは、バレーボールのクラブ活動があり、、まず2・3年生の練習の玉拾いをする。
次に、3年生が私達1年生にパスやサーブのやり方を教えてくれるので、ボールを追うことに精一杯。
その上、最近夜、そろばん教室に通い始めたので、大変だ。
男子を見る暇はないし、男子は目に入らない。
年が明けても、何回か3年生の教室について行ったが、彼女は大好きな宏さんと話が弾む。
私はその会話を聞いているだけだが、数人の3年生男子と顔見知りになった。
「卒業する宏さん達に、サインをして貰うから、としちゃんもサイン帳を持って一緒に行こうよ。」と礼子ちゃん。
彼女が是非と勧めるので、サイン帳を買って、次の日持って行き、2人で3年生の教室に持って行った。
サイン帳を預けておいて、メッセージを書いたら持って来てくれるそうだ。
数日後、サイン帳が届いたので開いて見ると、数ページに絵とことばとサインが書いてある。
「若竹のようにすくすくと」の詞と爽やかな絵が素敵だ。
私にまでこんなことをして貰えるなんてと嬉しくなったが、それ以上に礼子ちゃんの積極性に感心するばかりだった。
次は卒業式当日、「宏さんの学生服の第2ボタンを貰いに行くから付いて来て。」と礼子ちゃん。
何のことか分からず、私は目を白黒させた。
卒業する好きな先輩の思い出に、ボタンを貰う習慣があるらしい。
式後、彼女はボタンを手にしっかりと握り、私のところに見せに来た。
物知りで積極的な彼女に、またまた驚く。
私が礼子ちゃんを見習うのは、まだまだ先の気がする。

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