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ソチ五輪・『愛子、よく頑張ったね。嬉しいよ。ありがとう』　

2014年02月10日 ナビトモブログ記事
テーマ：人生

ソチ五輪の各競技がたけなわである。金銀銅のメダルをかけた熱戦を応援するたびに、何度も、上村愛子選手の挑戦を思い返す。

　2月8日、スキーフリースタイルの女子モーグルの決勝。

　上村愛子選手は、準決勝をギリギリの6位でクリアして決勝に進んだ。

　決勝が始まる。トップで滑走した上村愛子選手は、今大会で最高の滑りだ。続く5人の選手にプレッシャーをかけるに十分の出来だ。

　3人が滑り終えて、上村選手が1位。あとは、3人だ。

　残りの2人が僅差で上村選手を追い抜く。あとは、1人だ。

その1人は、アメリカのカーニー選手。モーグル女子の女王で、前回2010年バンクーバー五輪の金メダリストだ。

　カーニー選手がスタートする。おかしい。カーニー選手の滑りが乱れ、ずれている。プレッシャーがかかっているのだろう。

　カーニー選手がゴール。結果発表までの時間が長い。上村選手が勝った、と思う。

　結果が出る。カーニー選手が3位。

ああ、なんということだろう。

　上村選手は、これで、5大会連続の五輪出場で、1998年長野が7位、2002年ソルトレークシティーが6位、2006年トリノが5位と、順位を1つずつ上げてきて、2010年バンクーバーがあと一歩の4位。そして、今回、ソチは、あと半歩、いや、あと四半歩での4位だ。

　上村選手が精一杯精進を続け、5度もオリンピックに挑戦しているのに、神様は、なぜメダルを獲らせてくれないのだろう。


　上村愛子選手が初めて五輪に出場した1998年長野大会を思い出す。18歳で高校3年生の上村選手は7位入賞。その時、2度目出場の21歳の里谷多英選手が金メダルを獲得した。これは、日本女子選手が冬季五輪で初めて獲得した金メダルとなった。

上村選手が5大会連続の五輪出場で、メダルに手が届かないたびに、どうしても、上村選手よりも3歳年上の里谷選手のことが頭に浮かんでしまう。

　そういう気持ちが天に届くということなのだろうか。2月10日の新聞に、長野「金」里谷多英さん手記が載った。

　「鬼気迫る愛子の根性」の大見出し付きの手記は、次のような内容である。

?　愛子の今大会3回目・決勝の滑りは本当に良かったと思う。

?　愛子は、力があるので、ワールドカップでは、平均的な滑りをしても勝てていたかもしれない。

?　でも、今回は五輪で、しかも今大会2回目の滑りはぎりぎりの6位で残った。ハードで難しいコースを前に、最後はやるしかない状況だった。

?　前回バンクーバー五輪までは、どこか気持ちを抑えていたようなところがあったけど、鬼気迫るような愛子の根性を感じた。

?　愛子とは、長年にわたりずっと一緒にやってきた。あるときはライバル関係だったり、あるときは仲良くやったりだった。

?　自分が現役を引退してから、本当に心から頑張ってほしいと思うようになった。

?　最後に滑り終わった後、泣いているように見えた。それで、ああ気持ち良く滑ったんだなと思った。本当に後悔はないのかなとも感じた。

?　メダルには届かなかったけど、1位でも2位でも3位でも不思議ではないような、いわゆる記憶に残る滑りを見せてもらった。

この里谷さんの手記を読んで、様々に考えさせられるのは、津軽のシニアブロガーばかりではあるまい。

　読む人が朗若男女のいずれであるか、どんな人生経験を経てきているかなどによって、感じ方や解釈は様々になるだろう。

　私は、この手記を読んで様々に考えさせられ、結論は一つにはまとまらない。その様々の中の一つを申し述べる。

　トップアスリートのというか、女のライバル関係とは、厳しく、冷徹なものだ。

　里谷多英さんは、今回の上村愛子選手の滑りを、そして頑張りを評価してはいる。それは、分かる。しかし、なぜ『本当に後悔はないのかなとも感じた』とおっしゃるのだろう。


　上村愛子選手は、今回、やれることのすべてをやったし、全力を出しきった。レース後、「メダルは獲れなかったけれど、すがすがしい気持ち」と語っている。

　「3本とも自分の目指す滑りができた。応援してくれる皆さんに、それを示せたことが嬉しい。皆さんから応援していただいて感謝している」旨を語る上村選手に対し、里谷さんの『本当に後悔はないのかなとも感じた』はないでショ。

　『愛子、よく頑張ったね。嬉しいよ。ありがとう』とおっしゃるのが「武士の情け」というものだろう。

　人生いろいろ　男もいろいろ　女だっていろいろ　

　皆さんは、どのように考えるだろうか。

　それにしても、上村愛子選手に本当にメダルを獲らせてあげたかった。あとほんのほんの少しだったのに。何度も、思ってしまう。


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