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流老記

花一輪 

2014年01月10日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

曇りのち晴れ、で
きょうも寒い。

山間の小さな寺で
表から声を掛けたが
静寂の中に反応はない。

寺というには
余りに小さいから
きっと庵なのだろう。

横手に回ると
形ばかりの縁側と
手入れの生き届いた小さな庭。

無人と思うにはキレイすぎる。

この寒いのに
縁側に続いた部屋の障子は
開け放たれている。

古びた畳の向こうに
床の間らしき一角が見え
床柱の竹筒に椿の花一輪。

墨絵のような部屋の中で
浮き上がるかのような赤が
静かにこちらを見ていた。

「凛」という意味が
そのとき
初めて解ったような気がした。


十数年前
目的を見失い
あてもなくふらついていた頃の話。

華道のことは知らないが
花は一輪に限る、と
そのとき以来思い込んでいる。

椿を見るたび
あの庵の一輪ざしを思い出す。



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