夢の途中

遅き春 あるじなきとて 梅薫る 

2012年04月01日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

山間の村に春は遅い。
各地で桜の便りが聞かれる頃に、ようやく梅がほころぶ。

我が家の庭に、古い梅の木があった。
毎年春を告げて紅梅が咲いていたが、いつの頃が枯れてしまった。
父はその跡に、梅の苗木を植えた。
小さな苗木は、なかなか咲くようにはならなかった。
やっと花をつけはじめた頃、父は病に倒れ寝たきりになってしまった。
父の部屋からは梅が見えなかったので、花が咲いたら背負ってでも見せてやろうと思っていた。

春を待たずに父は逝った。
ようやく咲いた梅の花を見ることもなく逝ったことが、苦労ばかりの連続で報われなかった父の人生と重なって、無性に不憫でならなかった。
梅の花が咲くたびに、親不孝を詫びている。

今年も遅い春が来て、梅がほころんだ。
父は見ているだろうか。

遅き春 あるじなきとて 梅薫る



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

なんだか切ない話しです。

さん

梅を見るたびにお父様を・・・
花や木々にまつわる思い出ってありますね。
どうぞ、しっかり偲んであげてください。

2012/04/14 12:06:54

ありがとうございます

kennyさん

レチチアさん
コメントありがとうございます。
とても働き者の両親だったので、苦労を苦労とも思っていなかったのかもしれません。それでも親不孝を今でも悔いています。

2012/04/02 11:38:35

レチチア

さん

kennyさん  こんにちは〜
 梅の花が咲いて、天国のお父様はきっと喜んで
見ておられるでしょうね。親に対する悔いの想いは皆 同じでしょう。

2012/04/01 15:40:16

PR







上部へ