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作品名 67になっても、たまにはデートしたい(12) 評価 評価(1)
タイトル 67になっても、たまにはデートしたい(12)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/03/05 10:13:32

+++トップセールスの腕が泣くじゃないかーー
ー! プロの意地を賭けて私は策を巡らした:(金は
無くとも)必ず落とすぞ!

12.作戦の展開

 「女・非常識な金額・モーツアルト・二十九歳」の
四つの変数を得意のセールスの方程式に入れて解い
た処、解は二つあった:女は 「超自信過剰」か、それ
とも脳の足りない「パー助」のどちらか。

 それに、女は自称しているが、こんな際二十九なん
て普通の女には存在しない半端な歳ではなかろう
か? 実情は恐らく三十を一つか二つは超えてる
筈。私が六十七を五十八とサバを読んだのと同じ手
口に違いない。蛇の道はヘビだ。ならば、女には年齢
の焦りもある筈だ。こっちの読みは、実に確かって訳
である。

 けれども、女が幾ら非常識であってもバレリーナの
プライドを傷つけるのはまずい。そこで、飽くまで丁
寧に女へこんな趣旨のメールを、垂らしこむように送
信した:

 二十万というそんな「優良物件」のパトロンが見つ
かるまでの期間、時間が掛かると思うから、取り敢え
ず私を「間に合わせ」に使え、と提案したのである。
老練な外交官が使う手で、歩み寄りの提示である。

 しかし、最近の女はすれているから、この程度の妥
協案だけでは相手が納得すまいと考えた。必要なの
は、雑誌の豪華付録みたいな、何かもっとキラキラし
たもので飾り立てる必要がある。

 そこで、こんなおまけを付け加えた:今直ぐに心当
たりは無いが、協力して一緒に「優良物件」を探して
やろう、と持ち掛けたのである。私とコンビを組む
「利便性」を強調し、パトロンクラブの設立を提案
した。
 更に、クラブ運営のマネージャー役を引き受けるの
を申し出た。これは言わば豪華附録にリボンを括り付
けたようなもので、パッケージで差別化を図ったので
ある。

 ビジネスで譬えるなら、双方の過不足を補う合弁事
業の設立みたいなものであるからーーーと女を煙に
巻き、最後をこう締め括った:
「俗世間に知られない秘密な事業ですから、打ち合わ
せの為に是非どこかの隠れ家で、密会しなくてはなり
ません!」 
 料理の仕上げにスリルをトッピングして話をワクワ
クさせたのである。

(つづく)

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