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作品名 67になっても、たまにはデートしたい(6) 評価 評価(1)
タイトル 67になっても、たまにはデートしたい(6
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/02/27 11:09:14

+++やっぱりメスのヒグマだったらしい。抱き締め
られて頬擦りでもされたら、あばらの二・三本が折れ
る程度では済まなかったろう。危うい処で難を逃れた
のである。

六.家主の女

 二通目のメールは、大阪の二十七の女からである。
私の住む神戸から目と鼻の先。母親が病だと述べ
て、綿々と苦しい状況を綴って来た:

 仕事をしているが給料が少ないので、看護の費用が
足りなくて困っている。援助してくれないか。お礼
に、清掃の行き届いた自分の体の内部・外部を特別に
貸し出すから、自由に使ってくれ。必要ならアパート
の鍵も貸します、とあった。まるで家主である。

 体の「内部」とは口の中かなと思うのは小学生ま
でで、兎に角、大人用の口を自由に使わせてくれるの
は有り難いが、それにしても「貸します」なんて、レ
ンタカーみたいな調子である。

 一度も会った事の無い男を、鍵も含めて良くそこま
で信用出来るものだ。若い女の信じ易さに危うさを感
じたが、やっぱり五十八と書いた「歳の功」と、人を
束ねる「会社社長」という肩書きが信頼を得たに違い
ない。切羽詰った女の気持ちが何処となく察せられ
て、多少可哀想に思った。

 そんなに困窮しているなら、市の生活保護課に相談
してみてはどうか、そこは正義の味方の筈だからと親
切な積りで返信した。返事が来て、当局の対応が不親
切であると市と政府に対して女は苦言を呈した。
 それからニ〜三度メールのやり取りがあって、つい
に私は話の信憑性を疑うに到り、「貴女の話は全部作
り話ではないのか?」と送信した。

 直ちに、怒りに燃えた反発が打ち返されて来た:
「もう貴方からの助力は要らない。内部や外部どこ
ろか、軒下も絶対に貸してやらない!」

 
 女家主の憤激振りは真実を教えた気がしたが、真実
だとしても女の苦労を背負うのは荷が重いので、非礼
を詫びてから、最終的に丁寧にお断りした。
(つづく)

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