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作品名 アカンタレの話(33) 評価 評価(1)
タイトル アカンタレの話(33)
投稿者 比呂よし 投稿日 2014/01/28 09:28:12

+++女は正直だったのだ、九合目だから茶店は山の
本当の「てっぺん」とは言えない。幼い女の正直さ
に、誰も居ない屋上で私は独り声を出して笑った。

33/50.ああ、神様ーーー

 かすかな期待を持って、屋上から二階の喫茶室へ降
りた。既に半世紀以上が過ぎ時代が違うから、背の高
い小二の「女の子」がそこに居るはずはないのだがー
ーー。

 喫茶室はニ十人程度が入れる程広く、景観を楽しめ
るように殆ど全部の壁が透明なアクリル張りであっ
た。三〜四人の客がいた。コーヒーを飲みながら、何
かしきりにノートに横文字で書き物をしている若い外
国人も一人いた。

 注文取りの高校生のアルバイトらしい女の子が二人
いて、一人にコーヒーを頼んだ。何種類かランクがあ
ったが、そうしなければ悪いような気がして、一番高
いのを選んだ。コーヒーを運んできた時に尋ねてみ
た:

「ここは景色がいいね。この喫茶店は、ずっと前から
ここにあったのかい? 何年前に開店したんだい?」
「さあーーー?」
「店のマスターは、幾つくらいの歳の人なの?」肝心
な質問である。
「ーーー?」

 話が伝わったとみえる。奥から押し出しの良さそ
うな、70年配と見える小太りのお婆さんが体をゆ
すりながら出て来た。流石に私は、ギョッとなった。
ああ、神様ーーー。
(つづく)

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