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読書日記
『やりたいことは二度寝だけ』 読書日記361
2024年04月20日
テーマ:読書日記
津村記久子『やりたいことは二度寝だけ』講談社(図書館)
珍しくも図書館で棚に並んでいた・・私には著者の本は市横の奥深くにしまい込まれていて、好事家(つまり私のこと)があえてリクエストして借り出すというイメージがある。初めて読んだのは『水車小屋のネネ』(毎日新聞連載)・・ただし、本としてきちんと読んだ訳では無い・・それが何故か記憶に残っていて他の作品を何冊か読んで見ると、実に意外な作風であった。他の作品と比べると『水車小屋のネネ』はまったくまともな小説であった。
さて、amazonの内容紹介では以下の様になっている。
アホでも、地味でも、生きてゆけます。
昼は会社員、夜は小説家。“ハイブリッド・ワーカー”かと思いきや、超・庶民系芥川賞作家による、初のエッセイ集!
「本書のどうでもよさについて、自虐も言い訳もしない。何も残らないし、ひたすら地味で意味も無いけど、読んでる間少しらくになった、と感じていただければこれ幸いである。」(あとがきより)
検索が生きがい。文房具集めとハーブティーで日々を潤し、からあげ王子に想いを馳せ、ドラクエで自分の20年を振り返る……。
ささやかで、ちょっぴりおマヌケな出来事を綴る、“地味面白~い”脱力系エッセイ。
後書きの言う通りで、読んでもほとんど何も残らないエッセイであった。どうして日本経済新聞が著者にエッセイを依頼したのか、そしてそのエッセイを依頼したことを悔やまなかったかということが疑問点である。しかし、小説とはまた異なる「くだらなさ」が著者を現している。
著者から想像するエッセイの意外さと言えば、私にとっては三浦しをんと双璧を為す作家に思える(とは言え、両作家のエッセイはまだ1冊ずつしか読んでいない)。少なくともエッセイと言えば、清少納言やモンテーニュに始まるが、どこか高尚なイメージがある(少なくとも著者はそう思わせたがる)けれど、本書は逆である。
amazonのカスタマーレビューの中に「普段は1時間でおよそ100ページは読めるくらいの速度なのですが、200ページ程度の本著書を読み切るのに2時間ほどかかってしまった。」と言うのがあって、この書き方が逆説的に本書を示している感じがした。
あ、最後に書くと、本書の中に「二度寝」に関するものは「あとがき」にしか出て来ない。と言うか、<あとがきは二度寝について書いてみたのだが、あまりにも「悲願」という感じで、自分で読み返してひいたので没とした。(中略)平日は仮眠・本眠(?)・昼寝と一日に三回に分けて寝るわたしは、単純に計算して年に八百回二度寝をしたくなる、という胸苦しい話なのです>というもので全てである。いやー、題名にまでなっている二度寝の「悲願」ぶりがよく判る。ちなもに著者の2冊目のエッセイの題名は『二度寝とは遠くにありて想うもの』である。
(2024年3月29日読了)
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