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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (三百九十) 

2023年09月27日 外部ブログ記事
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 血のメーデー、警官隊が早稲田大学に突入した早大事件、そしてデモ隊と警官隊の衝突となった吹田事件に大須事件と世相が騒然とする中、富士商会の業績は順調に伸びた。しかしそれにつれて、五平の気力が萎えはじめた。開業以来やすみをとることなど一度としてなかった五平が、たびたびとるようになった。病気かしらと事務員のあいだでささやかれるが、当の本人は力なく「すまんな」と、首をふるだけだった。竹田が声をかけても、「ああ」と生返事をするだけだ。しかしそれで仕事が滞るということもないため、次第に「つかれてなさるんだ」と声をかける者がいなくなった。
「どうした、専務。最近、元気がないじゃないか」 生気のない表情をする五平を気にする武蔵に、から元気をだそうとする五平だったが声に張りがなかった。 「社長。そろそろあたしも、しおどきかと思えるんです。どうにもね、体力の衰えが気力のおとろえを呼ぶようで。こんなことでどうする! って、自分をしかってみるんですがね。でもねえ……」 座れという武蔵の指示に対して、このままでと首をふりつつも武蔵に肩を押さえこまれた。
「おいおい、なにを言いだすんだ。まだ、四十前だぞ。老け込むには早すぎるじゃないか。なにか悩みごとでもあるのか? そうか、あれだな。富士商会も安定期に入ったことからのだ。なんていうか、気が抜けたってところか? どうだ。もういっそ、結婚しろや。むかしのことは忘れてだ、もう五平の贖罪はすんでるんだ。所帯をもてよ。そうか、所帯は持っているんだったな。籍を入れていないだけだな。だからか、それで責められているのか?」
「いえいえ、そういうことじゃないんです。あいつは、そういった形式にはこだわらない女ですから」「じゃあ、なんなんだ!」 いらだちを隠せずに、語気するどくせまる武蔵に「こんど、一杯どうです? 屋台のいいところを見つけましてね。無口な親父がひとりでやってるんですがね。そのおりにでも、聞いてもらいますよ」と、柳腰でかわした。「むさい男がひとりでやってるのか? 女っ気なしだと? 五平さんが、女っ気なしの屋台で? おいおい、こいつは重症じゃないか。今度といわずにだ、今夜にでも行かなくちゃな」

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