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敏洋’s 昭和の恋物語り
愛の横顔 〜100万本のバラ〜 (四)
2023年08月16日
テーマ:テーマ無し
時計を見ると、八時半を指している。「いつものことよ、あいつが約束を守ったことなんて、ほんの数えるほどじゃないの」 口に出してこぼしてみるが、だれも慰めてはくれない。気をとりなおしてCD機に手をのばした。「わりい、わりい。おそくなっちゃったな」 健二のストレートなむしろ険をさえふくんだ声が背後からとどく。決して正面切っては顔をあわせない。
どうせ、せせら笑いをしているのだろうと栄子は思う。ぐっとこみ上げてくる涙をこらえながら、「来てくれるとは思ってなかったわ。どういう風の吹き回しかしら?」と、せめてもと栄子もまた険のあることばで返した。「なあ、栄子。もういちど医者に診せないか。知り合いがな、大学病院の医師を紹介してくれるというんだけど。手術は、イヤか? 歩けなくなるかも、なんてことは昔の話らしいぜ。いまはな、しっかりとした技術の医師ばかりだし……」
栄子の背に話しかける。相手の目をみて話すことがにがてな健二だ。自分自身さえ持て余し気味なのだ、他人の人生を背負い込むことなど到底考えられない健二だった。ときどきいまの自分を捨てて、アメリカでもヨーロッパでも、どこでもいい。逃げ出したいという衝動に襲われることがある。昼夜逆転のような生活をおくる自分が、なぜか吸血鬼のような気分になってしまう。他人の生き血を吸って――昨今はやりの○○詐欺まがいで収入を得ているわけではない。しかし健二の音に反応してくれる観客たちの血が、健二の生命の源だと感じているのだ。
健二の指からくりだされる弦の音が、アイドルたちの動きを活性化させる。彼女たちの言を借りるならば、「あたいじゃないの、音があたいを動かしてるの」。「体がね、くうに浮いて、なんのじゃまもない、そう宇宙空間にほうりこまれた感じ」。「神さまって、きっといるわ。あたしの願いをきいてくださったもの」。「すっごく冷たいの。いっつもね、体中をチクチク刺してね、やめさせてくれないの」。「そうよね、そんな感覚がある。ちょっとでも間違った動きをすると、ギュッ! って、つねられるの」。
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