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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (三百七十二) 

2023年07月05日 外部ブログ記事
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 妊娠後は、とくに匂いいが気になる。鼻にツンとくるにおいが、小夜子を苦しめた。武蔵の浮気癖のせいか、それともけばけばしい化粧女たちの世界に入っていたせいか、化粧品のにほいに鋭敏に反応した。それゆえに普段とは違うにほいが身についていれば、すぐに感じとった。「最近の殿方は、香水をつけられるのかしら?」。キャバレーとの女との浮気が発覚したおりの、小夜子のことばだ。「取引先の、ほらM工業の松田さんだ。あの人の接待だよ」
 全身に冷や汗をかきながらも、素知らぬ顔でこたえた。「どうもあの男、小夜子にホの字のようで。小夜子をチラリチラリと盗み見するのが、俺としては面白くない。といって、怒鳴りつけるわけにもいかんし。あの男の席には、もう小夜子をつれていかん。だからあの男の接待はのときは、同伴はしなくていいから」
 背広を脱がせた千勢すら気付かぬにおいに、小夜子が噛みついたのだ。「小夜子、勘弁してくれ。キャバレーに行ったんだ。香水の匂いも、すこしは付くだろうさ。千勢、お前、気になるか?」「いえ……奥さまに言われて、ようやく気づきました」「ほら見ろ。小夜子の気のせいだろうさ」 我が意をえたとばかりに、胸をそらせて大きな声で言う。
「あらあら。いまどきのキャバレーでは、お風呂のサービスもあるのかしら?」「えっ? 風呂って、そりゃなんのことだ……? 待てよ、そう言えばビールをこぼされてな、それでおしぼりで、、、」「言い訳はいいわ! 武蔵の浮気は、病気だものね。でも、すこしは控えてよね。あたしという、妻がいるんですからね」 しどろもどろに弁解する武蔵を、ぴしゃりとはねつけた。
「あらあら。いまどきのキャバレーでは、お風呂のサービスもあるのかしら?」「えっ? 風呂って、そりゃなんのことだ……? 待てよ、そう言えばビールをこぼされてな、それでおしぼりで、、、」「言い訳はいいわ! 武蔵の浮気は、病気だものね。でも、すこしは控えてよね。あたしという、妻がいるんですからね」 しどろもどろに弁解する武蔵を、ぴしゃりとはねつけた。
武蔵の女あそびには、どうやら武蔵ルールといったもみのがあるらしいと、最近になって気づいた。その一が、三ヶ月ほどの間隔をあけることだ。もっとも相手とは長くつづいてもふた月ほどで別れてしまうことを考えれば、年中浮気しているも同然かもしれない。ただ頻繁に会えない相手となると、このルールは当てはまらない。その二が、なにか大きな商談をまとめたときの、自分に対するご褒美だ。つねづね「社長というのはつまらん職業だ。大仕事をしても、ほめられんのだ」とこぼし「社長ならあたりまえ」と言われちまうと、愚痴る。「さすが社長です」ということばにも、実が感じられないと、しまいには怒りだしてしまう。その三が、「英雄、色を好む」だ。もっともこれはルールと言うよりは、口実であり言い訳に過ぎないけれども。
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