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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜(二百八十七) 

2022年11月22日 外部ブログ記事
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 俯いて、か細い声で、話すべきかどうかを迷いつつといった風に、首をかしげつつ話し始めた。「あの、小夜子おくさま? そのお話を旦那さまからお聞きしたとき、ほんとのところ、変だな? と思いました。『千勢はどう思う。嫁入り前の娘として、正直に答えてくれ。俺は嫌われていると思うか?』って、聞かれました。でそのときに、“なんて高慢ちきな女なんだろう! この旦那さまに不平不満を持つなんて、絶対におかしい”と思ったんです。もうしわけありません、失礼なことを言いまして」  頭を畳にこすりつけて、「どうぞお叱りにならないでください」とばかりに、体を縮めた。「いいのよ、千勢。で、他には?」 小夜子の口から出た優しいことばと、やさしく微笑む表情に、武蔵が「観音さまだ」と嬉しそうに言った折の顔を思い出して納得する千勢だった。「はい。ほかの男性とおやくそくをしてらしたんですよね。それで、ア、なんとかと言うモデルさんともおやくそくを。ふしぎな気がしてました。少し、キじるしでも入ってるのかしら? なんて、そんな失礼なことも考えたりしました」
「そう、そうなの。外国語を話す通訳さんにね、言われたのよ。『優しい男性だったら、そのくらいの我がままは聞いてくれるわよ』なんてね。いま思えば、アーシアのご機嫌取りのための方便だったのよね。フツウならば、そんなこと、信じないわよ。あのときは、あたしも舞い上がってたからし、まだ子どもだったのね、あたしも。世間知らずの小娘よ。でもそれが可能なことのように思えてたのよ。この世はあたしを中心に回ってる!なんて」 目を大きく見開いて「でも、旦那さまとごいっしょになられて良かったです」と、しっかりとした口調で、大きく頷いた。「そうね、そうだと良いわね」「ぜったいです、ぜったい良かったです」 目を輝かせ、鼻を膨らませて強調する千勢。そんな千勢を見ていると、小夜子もまた“これで良かったのよ”と安堵の心が湧いてきた。
「それで奥さま。かんげい会のほうは、どうなったのですか? どんなでした?」 なにやら聞き出したいことがあるのに、中々切り出せないというもどかしさが、千勢の顔に表れている。「なあに? なにか、気になるの? なに、なに? なんなの?」「い、いえ。そんなことありません。そんな気になる人だなんて。そんな人、いませんから」 語るに落ちてしまった千勢。小夜子の好奇心を刺激した。「あらあら。だれ? だれが気になる人なの? 言いなさいよ、仲を取り持ってあげるわよ」「そ、そんな人はいませんってば。ただその、誰がその、そう! 小夜子奥さまのお帰りを一番喜んだのは、誰かなあって。それが、知りたいだけですから」と耳たぶまで真っ赤にさせる千勢だ。

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