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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百七十七) 

2022年10月27日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 会社での歓待ぶりは、道々竹田の「きっと大騒ぎです。内緒にしろと言われているんですが、大きな張り紙を用意しているはずですから。あ、でも、びっくりなさってください」という情報以上だった。 全員が――五平ですらが、玄関前に勢揃いしての出迎えだった。道を行き交う者たちも、やんごとなき方の来訪か、それとも映画スターでも立ち寄るのかと、足を止める始末だった。
 小夜子が自宅に辿り着いたのは、どっぷりと日が落ちて落ちてからのことだった。“灯りの点いていない暗いお家に一人なのよね。こんなことならもう少し実家に居ればよかったわ。それにしても武蔵ったら、どうして出張に行くのよ。新妻を放ったらかしにするなんて、ほんとに信じられないわ”「着きました、小夜子奥さま」 竹田の声に促されるように車から降りた小夜子の目に、信じられない光景があった。「えっ! 灯りが点いてる。ひょっとして武蔵、帰ってきてるの?」
「いえ。社長はまだ二日はお戻りになりません」 冷然と告げる竹田に対し、「だって、灯りが……。泥棒? 竹田、警察を呼んで!」 語気鋭く詰め寄る小夜子だが、しかし竹田は涼しい顔をしている。「ああ、灯りですか。泥棒じゃありません、すぐに分かります」と、にこやかに答える竹田だ。「そりゃ、分かるでしょうよ。中に入れば、誰かが居るのか、それとも灯りだけが点いてるのか。分かって当たり前でしょ!」 憮然とした面持ちで、言い返す小夜子。しかしなそれでもなお、竹田の笑みは消えない。
「お帰りなさいませ、小夜子さま。いえ、奥さま。お久しぶりでございます、千勢でございます。おめでとうございます。やっとご決心なされたんですね、千勢も嬉しゅうございます」「まあ、千勢。あなただったの? 戻ってくれたのね、嬉しいわ。あたしね、あなたが居なくなってからね、ほんとに後悔したのよ。もっと真剣に教われば良かったって。あなたが、あんまり簡単にお料理なんか作るものだから。あたしにだって簡単に、なんて思っちゃって」
「はい、申し訳ございませんでした。あたしも悲しかったです。何か悪いことをしたのかと、暫くはボーゼンとしていました。旦那さまからは、何もおっしゃっていただけませんし。もう悲しくて悲しくて、何日も泣いてしまいました」「ほんとに、千勢には悪いことをしたわね。あたしの我ままから、あなたをそんなに悲しませてたなんて。武蔵にね、あたしだっておさんどんぐらいできるのよって、見せたくなったの。それだけだったのよ。あ、竹田。ありがとうね、もういいわ。ご苦労さま」

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