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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (百八十四) 

2022年01月13日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「ところで、五平。お前、田舎に行ってくれ」 照れ隠しの為か口を真一文字に閉じていた武蔵が、慇懃に口を開いた。「田舎と言うと、いよいよですか?」「ああ、そんなところだ」「分かりました。で、いつにされますか? ええっと、こりゃいい! 明日が大安ですよ。それじゃ、明日にでも出かけますわ」「いや、お前。それはちょっと急過ぎないか?」「何を言ってるんです。こういうことは早いほうが良いんです。小夜子奥さんも了解済みなんでしょう?」「いや、それはまだ……」「事後報告でも良いじゃないですか。いや、そのほうが良いかもしれません。あのご気性だ、前もってだと何かと……」 口を濁す五平だが、その言わんとすることは武蔵も分かっている。天邪鬼的な性格を持つ小夜子のことだ、反発しかねない。更には、失意から立ち直りかけの小夜子でもある。付けこむようなことになりそうで、ためらいの気持ちが出た。こと商売となると、相手の弱点をギリギリと攻め立てる武ことも厭わぬ武蔵であり、外堀を埋めて追い込みをかけたりもする武蔵でもある。或いは相手の虚を突き一気に落とす武蔵なのだが、小夜子に対してはそれができない。「まあとに角、任せてください。うまく話しを付けてきますよ」 五平が得意げに言う。そして普段ならば五平には指示を与えることもなく任せてしまう武蔵だが、今回は違った。「いや、俺の言う通りにしてくれ。仮にも、義父になる方だ。それなりの礼を持って接したい。使者としての五平だからな。本人には、俺がキチンと話す。五平には、他のことを頼む」「社長、社長!」 興奮する事務員が飛び込んできた。「何だ、どうした。落ち着け、少しは」「はい、すみません。でも、でも、、、」「タケゾー、居る?」。思いもかけず、小夜子が現れた。「奥さん」「小夜子、お前」 大の男二人が大きく口を開けて、小夜子を出迎えた。「いゃあね、もう。はとが豆鉄砲、みたいに」 ニコニコと、部屋に入った小夜子。武蔵の傍に近づき「竹田のお姉さん、入院されたの? もう落ち着かれた? で、どこの病院なの?」と、矢継ぎ早に問い質した。「あ、ああ。大丈夫だ、大学病院に入院させた。教授直々に担当医になってもらってるから」「そうなの、じゃ安心ね。あたしね、行ってくるから」「えっ? 行ってくるって、小夜子」「昨日、言ったじゃないの! あたしが看病するって。ねえ、加藤さんも聞いていたわよね」「は、はい。確かに聞きはしましたが、しかし」 突然話をふられ、武蔵の顔色を見つつ答える五平だ。「しかし小夜子。看護婦が付いてるんだぞ、わざわざ小夜子が。それにうつりでもしたら」

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