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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 〜第二部〜(百四十一)
2021年09月29日
テーマ:テーマ無し
“この報告書を書き上げれば、小夜子さんに逢えるんだ”。
正三は、隣町に出かけて観た映画のあとに、暗くなった公園での「約束よ」という声と共に触れられた、小夜子の柔らかい唇の感触が忘れられなかった。
夢の中で幾度となく吸い合った小夜子との接吻に、毎日毎日、思いを馳せていた。
“もうすぐです、もうすぐです。今日中に報告書を書き上げます。徹夜してでも、書き上げます。
そうすれば、僕は、僕は、、、貴女の下に馳せ参じます。もうすぐです、もうすぐです”
翌朝大役を果たし終えた正三は、早退届を提出した。報告書を受け取った室長は、
「うん、ご苦労さん。よく頑張ってくれたな。疲れたろう、ごくろうさん」と、機嫌よく了承した。
昼休みの折に中庭に出た正三は、久しぶりの俗界に触れた気がした。正三の気持ちは昂ぶっていた。
大きく背伸びをして、一、二と声を挙げて腰を回す。そんな正三に、二人の男が声を掛けてきた。
「終わったなあ、佐伯くん」
「さあ、思いっきり騒ごうじゃないか」
「いや、今日は、ちょっと、、、」
口ごもる正三に対して二人が声をかぶせてくる。
「夜七時に集合、でどうだい? 場所は、うーん……」
「何を迷うことがあるんだ。我が郵政省御用達が、あるじゃないか」
「ああ、そうだな。まだ極秘なんだよな、我々の仕事は。結局、あそこか」
「いや、実は、今日は大切な用があるんだ。悪いが、、、」
小夜子に逢いたいとの思いが強い正三は、同僚たちの誘いを必死に断った。
しかし、同僚たちの興奮ぶりは納まらない。
「何を言うかあ! 我々との交流を拒否することは、許されんぞ。
君は将来、次官さまを狙っているんだろうが」
「そうそう、次官さま狙いだ。だとすればだ、我々の協力なしには、有り得んぜ」
「今夜ばかりは、例え親の生き死にであろうとも、優先されるべきだぜ、佐伯くん」
「そうだ、そうだぜ。今夜の慰労会が終わるまでは、このプロジェクトは完遂しないんだぜ」
有無を言わせぬものだった。殺気立った物言いだった。
「分かりました、分かりましたよ」
興奮状態の二人に対し、そう答えざるを得ない正三だった。
“小夜子さん、ごめんなさい。明日、明日には必ず、馳せ参じますから”。
念じるような気持ちで、頭に浮かぶ小夜子に手を合わせた。
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