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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 〜第二部〜(百二十九)
2021年09月01日
テーマ:テーマ無し
“将来の為よ。正三さんに、美味しいものを食べて頂く為の練習なの。
そして、アーシアに和食を食べさせるの。
ホテル住まいばかりじゃなくて、どこの国でもいいから……そうね、やっぱりアメリカかしら。
お家を買うの、お庭の付いてる。そこであたしが待ってるのよ。
疲れて帰ってくるアーシアに、美味しい和食をたくさん食べさせて……。
ああ、だめなのよね。いいわ! 少しの量で、たくさんの種類を用意してあげるの。
とにかく、お野菜とお魚と、そしてたまにお肉。
そういえば、アーシアって、お肉は全然口にしなかったわ。
だめなのかしら? 食べちゃ。嫌い、ということはないわよね。
ああ、早く会いたいわ。会いたいと言えば、正三さん、どうしたのかしら?”
矛盾を矛盾と感じない小夜子だ。正三とアーシア、同一人物かのごとくに思っているように見える。
「正三さんとかいう彼と所帯を持って、アーシアと一緒に世界を回ればいいじゃない」
前田が無責任に言ったその言葉を、真に受けている。
“正三さんなら、大丈夫。きっと分かってくれるわ”
しかしその正三からの連絡は、未だにない。彼是、ふた月近くが経っている。
“あの情熱的な恋文は、何だったの”
“やっぱり、心変わりしたのかしら”
“それとも、加藤家の方で……”
色々思い巡らせてみるが、驚いたことに小夜子の気持ちの中に、嘗てほどの焦りは浮かんでこなかった。
小夜子の胸は、さ程に痛むことはなかった。
加藤家で世話になっていた折に感じた焦燥感が、まるで湧いてこなかった。
“正三さんを信じているもの”
己自身に言い訳をしてみるが、熱情が薄れ始めたことを認めない訳にはいかなかった。し
かしそれでも、正三に再会すればすぐに復活すると言い聞かせていた。
“正三さんじゃなきゃ、だめなのよ。アーシアと一緒に暮らすためにも”
あくまで、アーシアなのだ。
未来ー小夜子にとってはすぐの、手を伸ばせばすぐにも届きそうな、明日明後日ではなく、ひと月ふた月というほどの日々でもなく、時間という物差しでは測ることの出来ないものだったーにおけるアーシアとの生活が全てで、その為の現在でしかなかった。
しかし最近、小夜子に予感めいたものが、じわじわと攻め立ててくる。
“あたしの処女は、武蔵に捧げることに、ううん、奪われることになるわ。
でも、心だけは許さないの。心はもう、アーシアに預けてあるもの”
“こんなたくさんの、お洋服やらアクセサリー、着物も作ってくれたし。
処女ぐらいは仕方ないわよ。梅子姉さんも言ってらしたもの。
『物を貰ったら、それなりのものをお返しするものよ。心を貰ったら、心でお返しするの』。
ほんとは正三さんにあげたいんだけど、仕方ないわよね。
そうだわ、あたしの初接吻は正三さんだったわ”
武蔵に対する恋心らしきものがじわじわとにじみ出て来ることを、頑として認めない小夜子だった。
「正三一途」という金文字が頭から離れない。
“金品に惑わされる、小夜子じゃないわ!”
決意にも似た思いを、事あるごとに呪文の如くに口にする。
しかし金員を湯水のように遣うことが、武蔵の愛情表現だと知る小夜子だ。
そしてそれが、小夜子の金看板にも思えてしまう小夜子だった。
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