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敏洋’s 昭和の恋物語り
敬愛する 芥川龍之介 を語る (作品)〜父〜
2020年08月12日
テーマ:テーマ無し
はっきり言って、芥川龍之介という異色人物に畏れを抱き始めた作品だ。
と共に、淋しさも味わった。私の手の届かない所に居るような気がしてきた。
勿論、もうこの世の人ではない。
そういう意味ではない。
私が死んだとしても、彼の傍には行けないということである。
彼は、私とは異なる次元の人のように見えたのである。
自分の親を「ロンドン乞食」と評し、友人の前で嘲笑した能瀬という中学生に対し、親孝行者の判断を下すとは。
私にはどうしても理解できず、苦しんだ。
しかし、何度も何度も読み返し、じっくり考えるにつれ、彼の心境が理解できるようになってきた。
まだ、ボンヤリとした輪郭のみしか― いや、輪郭すらもはっきりしていない。
研究不足で申し訳ないが……何というか、その時代の道徳観念への挑戦の如きものではないか、と思える。
こうなってくると、この『父』という作品に対して、新しい感動を覚え始めた。
しかし、やはり何か無理があるような気もする。
引っかかりの興ってくるのをどうすることもできない。
文章には、一段と冴えがあるような気がする。特に、
「当日になると、…………、気が気でない。
方々の工場で鳴らす汽笛の音が、鼠色の水蒸気をふるわせたら、それが皆霧雨になって降って来はしないかと思われる」は、焦りの気持ちを巧く描いたと感じた。
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