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敏洋’s 昭和の恋物語り

狂い人の世界 [第一章:少年A](十一) 

2020年06月24日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「おふたりさあん! ごはんですよ。食堂にいらしてください」

 あらあら、お二人が部屋を出られていきます。どうやら食事の時間のようです。そ
れにしてもテレビを付けっ放しとは。あ、バタバタと妙齢の女性が。
職員でしょうか、テレビのスィッチを切っていかれました。
主の居ない部屋というのは、静かなものです。
今まで流れていたいかめしいといいますか、イガイガとした空気が落ち着きを取り戻していきます。

神 =
ねえ、お前。あの少年は、如何しておるかの?

閻魔=
はい、神さま。申し訳ございません、ご報告もせずに。
やはりのことに、等活地獄行きも致し方のない仕儀かと心得ます。
如何なる事由があろうとも、自ら生命ちを断つことは許されざることにございます。

神 =
そうよのう。どうだろうか、少年の罪を一等減じさせることはできないものかね。
ひと言囁いておくれでないか。
閻魔=
恐れながら、それは致し兼ねます。
そもそもこの定めは、神さま、あなたさまがお作りになられたことです。

[己の罪は、己が一番良く知っておる。しからば、その罰は己に決めさせよ]

閻魔=
俗世界での汚れをこの天界で落とし切らねば、転生した折に、また辛い日々を送らねばなりませぬ。
それは皆、重々に承知しておる筈。
それに天界において己を偽ることの愚かさを知らぬ者は、誰一人としておりませぬ。
お願いがございます。
これより後、子どもらに対する大人の逆襲が起きないかと、危惧しております。
そうなる前に、どうぞご慈悲を持ちまして、救済の道をお示しいただければと思います。

神 =
うむ、しかしのう。
わしの示す道を、曲解する者が出てくるのじゃ。
意図してのことか、それとも無知ゆえのことか、のお。

閻魔=
まことに左様で。
実は今、人間界はとんでもないことになっております。
わたくし実のところ、亡者どもの整理に忙殺されております。

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