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敏洋’s 昭和の恋物語り
狂い人の世界 [第一章:少年A](十)
2020年06月16日
テーマ:テーマ無し
神 =
なあ、お前。人間という者は、どこまで残虐な心根になってしまったのか。
わしの預かり知らぬところで、このような非道を起こすとは。
救い難いものじゃのお。
閻魔=
で、では。あなた様のご指示ではないので。
てっきり、お灸を据えられたものか、と考えておりましたが。
神 =
指示どころか、伺いすら受けてはおらぬわ!
このままでは、終わらぬぞ。
またぞろ、彼の国の報復が始まるであろう。
それにしても、民間航空機のハイジャックをしてとは、愚かなことをするものじゃ。
民間人を巻き込むなど、卑怯千万! としか言えぬであろうに。
世界中からの非難が集まるとは、考えぬのかのお。
閻魔=
愚かなことと申されましても、それはあの者たちには通用せぬことでございましょうな。
富の搾取を訴えている者たちでございますからな。
あの者たちの国々の地下に眠る資源を取り上げている、と、そう考えているのでございましょう。
哀れなことで。
神 =
ほお、お前は哀れむのかね、あのような残虐非道な行為をとる者を。
閻魔=
これでは、立場が逆ではございせぬか。
わたくしが糾弾して、断罪を! とご進言するべきものですぞ。
に対して、あなた様がご慈悲のおこころでもって、わたしを諫められるべきところなのに。
神 =
ほっほっほ。そうじゃった、そうじゃった。
日の本という国に、良き格言があったのお。
[ならぬ堪忍、するが堪忍]。
しかし、堪忍できまいのお。彼の国では。
閻魔=
はい。自国民を大量虐殺された彼の国が、報復に出ぬことなど有り得ぬことでございます。
それをせねば、国民が許しますまい。
神 =
なるほど。あの国の国民性を考えれば、無理かのお。
しかしのう。彼の国で、多くの国民が信仰するキリスト教の教えに、
「右の頬を打たれたら、左の頬を 差し出しなさい」とあったとおもうのだけれども。
閻魔=
これは、意外なお言葉を。
そのような弱腰の教えなど、彼の国では死語になっておるではありませぬか。
神 =
ううむ。連関の世界にならねば、良いのだが。
閻魔=
それはそうと、あの少年のご処断は、お決まりでございますか?
神 =
うむ、決めたよ。人を傷付けた事は、やはりのことに許されるべきものではない。
何より許せぬのは、自ら生命を絶ったことじゃ。
わしに救いを求めることなく、暴走してしまいよった。
もう既に、お前の元に向かわせておるよ。
いつもの如くに、罰についてはお前がの。
閻魔=
分かりました、厭なことはすべてわたくしの職務。
それでは、地獄の門にて待つことに致します。
それにしましても、ここのところ、理解に苦しむ罪を犯す者が多くなりました。
神 =
そうよの。嘆かわしいこと、だて。
−−−−−
本日は、わたしのBirthdayでして。
71歳を数えます。
空恐ろしい数字ですわ、ほんとに。
わたしの10代の頃なんぞでは、到底考えも付かぬ年齢です。
もう、よぼよぼの爺さんというイメージでしたがねえ。
息も絶え絶えといった感じで、一人で歩くなどとてものことに覚束ない……。
いざ、今自分がその年になってみると、「まだまだ! 若い者には負けんぞ!」という意気込みですよ。
午後だけとはいえ、まだまだ仕事に精を出しているのですから。
まあ確かに、仕事を終える頃には少し腰が曲がってしまい、猫背のまま歩きはしていますが。
気力はあるけれども……、ということですね。
正直のところ、会社内でも、覇気のない同僚が居ましてね。
半ば絶望したようなことを、度々口にするものですから、つい「身体を取っ替えようか」と言ってしまうのですけれど。
閉塞した境遇に追い込まれていることも分からないでもないのですが。
非正規社員――これって、何とかなりませんかねえ。
未来に明るい光を感じさせてやってもらえませんかねえ。
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