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流老記

空蝉 

2018年08月09日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

朝のうち曇り、で風がまだ強い。

台風は、
それほどでもなく
銚子をかすめて行った。

商店街へ降りるとき
団地の木の幹に蝉の抜け殻を見つける。

台風が近づいて来ているのに
脱皮を強行したのだろうか。

部屋に持ち帰り
しばらく眺めていたら
昔々、ロケハンに
女を連れて諏訪湖まで行ったことを
思い出した。

女はそこで
蝉の抜け殻を幾つも手にしていたっけ。

風変わりな女だった。

年の割に、はしゃぐこともなく
冷めているというか、
静かに一人遊びをしているような
女だった。

仕事にかこつけては呼び出して
半年ほど付き合ったけれど
ある日、突然連絡が取れなくなり、
それならそれで仕方ない、とばかり
捜しもしなければ何もしなかったが
翌年の初夏に葉書が一枚届き、
故郷に戻り結婚しました、とあった。

なぜか空蝉を思い出し、
しばらく葉書を手に立ち尽くしたっけ。

それからは
毎年、夏になると
蝉の抜け殻を見るたびにチラリと思い浮かべる。

今夜は、
山口百恵の「空蝉」をBGMに
机の上に置いてある蝉の抜け殻を見ながら
珈琲を飲んでいる。

本当は、
女に去られた男のほうが
空蝉になるんじゃないかえ。



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ハナコおばさん

根無草さん

それにしても
なんで葉書を寄越したのか
いまだに理解できないんだわさ。

私は、こんなに幸せなんだよ、とでも
言いたかったのかなあ。

女心は
判りません、です。

2018/08/10 21:19:22

阿Qさん

根無草さん

なんのなんの、
阿Qさんの青春に比べたら
灰色にくすんだものだったです。

Qさんの句に返事といきますかな。

木々に停まらず
花々に惑う(字余り)

2018/08/10 21:16:28

女ごころ

ハナコおばさんさん

捜しもしなければ何もしなかった、のが
いけなかったんじゃないかなァ……(-_-;)
追いかけて来てもらいたかった、ハッキリしてもらいたかった、女ごころなんだよねぇ……

2018/08/10 16:00:15

憎い色男

阿Qさん

青春だったんですね〜・・・
羨ましいな、この色男!
アタシなんざ〜、女日照りの青春。
干天の慈雨と錯覚したのが運の尽き。
嗚呼、青春とは愚かさの代名詞ですな〜・・・
ここで一句。
空蝉や 老いてこそ知る 爺蝉かな(字余り)

2018/08/10 11:33:01

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