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母国語 

2017年10月07日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

カズオ・イシグロ氏が、インタビューで対応している様子を見ると、言葉を聞くまでもなく、明らかに日本人には見えない。

日本で生まれて、日本人の家庭で育っても、教育や育まれる環境で、かくも違いが顕れるのか。


私は、海外で生活した期間が、長かった訳ではないけれど、日系人に会う機会は結構あった。

彼らは、私達の様な純粋の日本人に接して、自分たちのルーツを知りたい様に見えた。


その折、母国語がその人のアイデンティティーに与える影響の大きさに、驚いたものだ。

只立っているのを見ても、日本人か日系人か、わかる気がする。

勿論、個人差があるから、外れることもあるけれど・・。

一年しか住んでいなかったカナダで、一番現地に溶け込んでいた娘が、日系人の様に見えた思い出もある。

帰国する間際、忙しい親の運転には頼らず、バスに乗って友達の家へ遊びに行った時だ。

たまたま、こちらは車に乗っていて、停留所で帰りのバスを待っている娘を見かけたのだが。

あの時はきっと、小学校5年生だった娘の思考は、英語だったのだろうと思う。

見慣れている娘の表情とは、かなり違っていた。


5歳の時に英国に渡ったという、カズオ・イシグロ氏が、その後どんな風な教育を受けたのかは知らない。

でも、かなり前に彼の作品を夢中になって読んでいた頃、一体どんな人なのか検索すると、日本を訪れたときの映像が出てきた。

子供の時は、母親と過ごす時間が多かったので、日本語の女性言葉は少しわかります、と通訳を介して言っていた。

つまり、文字通りの母国語(母親の言語)は、英国で教育を受ける段階で失ったのだろう。

でも、所謂英語の「ネイティブ・スピーカー」というのとちょっと違う。


その、日系イシグロ氏が、イギリス文学界最高の賞である、ブッカー賞を受賞したというのは、だから大変な栄誉なのらしい。

今回の、ノーベル賞とは、かなり異なる意味合いを持っているのだと思う。


今私は、愛読書の作者が、再び注目される事に、図々しくも、勝手にちょっと親戚のような、嬉しさを感じている。



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師匠

シシーマニアさん

言語が、思考回路に影響を及ぼす、のは確実だと思います。

イシグロ氏も、流ちょうに英語を話す日本人、とはちょっと表情や仕草が違いますよね。

と言っても、今回の報道で、動画は見ていませんが、多分・・。


比較してどうこう、ではありませんけれど、教育や環境の与える影響は、実に大きいと思います。

2017/10/07 15:35:11

澪さん

シシーマニアさん

母国語、或いは母語、という表現は面白いですね。

デンマーク人と結婚した友人は、家庭ではお嬢さんに徹底して日本語で話しかけて育てたそうです。

でも、一度電話でお嬢さんと話しましたが「家庭だけの言葉には、限界があるんだろうなぁ」と、思いました。
只、そのお嬢さんにとっては、母国語は日本語、という括りらしいです。

括り方も、国によってちがうのかしら・・。

2017/10/07 15:14:01

つゆさん

シシーマニアさん

「私を離さないで」は、映画も素晴らしかったですね。

あの世界が、どんな映像として表現されるのか、見る前には、勝手に危惧しましたが・・。

キャシー役の女優さんがとても良かったけれど、それだけに「華麗なるギャッツビー」に登場したときは、違和感がありすぎて(ミア・ファローと比べると、又一層)入っていけませんでした。

一方、「日の名残り」の、アンソニー・ホプキンスは、演技の幅の広さに圧倒されました。

2017/10/07 15:04:43

なるほど

パトラッシュさん

> 見慣れている娘の表情とは、かなり違っていた。

これを見て、はっとしました。

環境が人を変える。
もしかすると、言語生活は、その人間の“見かけ”ばかりでなく
“体臭”から、“思考回路”にまで、払拭し難い、
影響を及ぼしているのかもしれません。
さながら、別人格を、形成しかねないが如くに……です。

母はなくとも、子は育つ。
仮に、母国語を失っても、きっとまた、新たな言語世界に、人生を樹立出来る。
人間の柔軟さ、そして可能性を表して、それは、
素晴らしいことだと思います。

本日の、シシーマニアさんのブログ、母国語を例に、
人間の同一性、同化性というところに踏み込んで、
コスモポリタン・シシーの面目躍如たる、一文となっております。

(コスモポリタンは、その思想性を抜きに、単に「国際人」という意味です)

2017/10/07 14:45:44

孫達の母国語は〜〜

澪つくしさん

私の孫達3人は、アメリカ生まれの日系二世。

旦那さんも日本人なので、家では日本語。

長男は幼稚園から現地の幼稚園で、小学校も現地、日本文化を習う為に土曜だけ日本人学校へ。
次男坊も今年から現地の幼稚園です。

私達大人は、言葉は大丈夫?って思いがちですが・・・
心配は無いようです。
日本語もまだ定かでないお年頃ですから〜

近所のアメリカの子供達とは英語で遊んでるし、
家に帰れば日本語、兄弟喧嘩は英語と日本語の
チャンポン!(⌒▽⌒)アハハ!
次男坊もお兄ちゃんの影響で、カタコト英語!

この調子で3男坊も、知らない内にバイリンガル!!

という事で・・・
どこで日本語と英語が切り替わるかってことは、
相手次第のようですね〜( ̄‐ ̄)んー

孫達のこの先は分かりませんが・・・
長男には言ってあります。
「バビちゃんとは、日本語でお話してね!」って♪

2017/10/07 13:11:46

なぜか村上は読まず

さん


カズオ・イシグロを愛読していましたので、私も、同じ気持ちです。

2017/10/07 10:33:55

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