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「女ごころ」 

2017年09月27日 ナビトモブログ記事
テーマ:思い出すままに

先日のレッスンの時、マダムが最近訪れたという、タイの写真を見せてくれた。

その中に、ホテル・オリエンタルの写真があって、この窓の部屋が、サマーセット・モームが泊まっていた場所、というのがあった。

大学生の頃、モームを夢中になって読んだ時期がある。

手に入る範囲では、殆ど全て読んだと思う。

「ストーリー・テラー」と言われるだけあって、読みやすいのも勿論あるし、英国人の描くスノッブ像が、とても面白かった。

その頃、モームの作品は「月と六ペンス」に尽きる、と思っていた。

多くの短編の粋を、一遍の長編にまとめた作品、位に思って居た。

少なくても私の中のゴーギャン像は、この作品によって勝手に造られていたから、実際の画家の生涯を調べた時には失望した位だ。

この作品を、もっと集約した作品が、「お菓子と麦酒」だと思う。

こちらは、成功した文豪と、その最初の妻と、彼を世間に送り出した二度目の妻、という設定だけれど。

いずれにしろ、藝術と俗世間を揺れ動く人々の話である。


好きな作品としては「女ごころ」かな・・。

二人の男性、一人は高官で、一人はプレイボーイ、彼らに求愛される美しい未亡人の話、とこんな風に書くと身も蓋もないけれど。

それがモームの手にかかると、それぞれの場面場面が、あたかも一幅の美しい絵画を、次々と並べて見せてくれる様な印象であった。


私は、留学するときも、船便で沢山本を送った。

楽しい時間は過ごせたけれど、残念ながら、ドイツ語が身につかなかった、それは大きな理由ではある。

とにかく、好きな小説を、繰り返し大切に読んでいた。


あるとき、留学を終えて帰国する友人に、「飛行機の中ででも、読んでね」と、読み古した「女ごころ」の文庫本をプレゼントした。

それは私にとって、身を切られる様な品物だったけれど、人に贈るというのはそういうことだと、思い込んでいたのだ。

あぁ、何という血の巡りの悪い、独りよがりだったのだろう・・。

あの本は、簡単には手に入らない異国の地でこその、貴重品だったのに・・。



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英国小説

シシーマニアさん

コメントありがとうございます。

作家を好きなるって、きっかけがありますね。
モームは英語の文章が余り難しく無い、と聞いたのがきっかけでした。
結果的には、翻訳でしか読んでいませんけれど・・。

「レベッカ」も同じ頃、繰り返して読んでいました。
後年ローレンス・オリヴィエの映画を見て、改めて魅力を感じました。

2017/09/27 20:00:34

サマセット・モーム

さん

よく覚えていらっしゃいますね。
若いころ、何編か読んだはずなのに、
なにも覚えてなくて。
タイも行ったのに、情けなや。

「レベッカ」のデュ・モーリアやアガサ・クリステイばかり。
どうやらエンターテイメント派のようです。

2017/09/27 18:04:50

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