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吾喰楽家の食卓

皐月・初演の会(打上げ編) 

2017年05月31日 ナビトモブログ記事
テーマ:古典芸能

初演の会は、宿題三題噺だけでなく、打上げと称した飲み会が魅力だ。
落語の後、三人の噺家さんを囲んで、居酒屋で一杯遣るのが楽しい。
今月は客が少なく、男性六人、女性九人、合計十五人で、いつもの半数だった。
その中で打上げに参加したのは、男性はパトさんと私の二人、女性は五人と、これまた少ない。
噺家さんを含めると、男女同数の合計十人になる。
だから、彼等との交流を考えると、丁度良い人数だと思う。

我々は、板の間に並んだ縦長のテーブルに、思い思いに座った。
パトさんと私は、右奥に陣取った。
噺家さんたちは、会場の片付けがあるので、毎回、一足遅れて来る。
時計の文字盤でいうと、馬桜師は十二時、はな平さんは十一時、菊生師は六時の位置に座った。
その座席は、菊生師の采配である。
板の間の上がり端に、先輩や後輩を一人にする訳には行かないと、考えたのであろう。
菊生師なら、大勢の女性陣に、一人で応対が出来る。

私の席は一時、パトさんは二時の位置だ。
私の右前の馬桜師と、正面のはな平さんが、声を潜めて何か話し始めた。
仕事の話だったのかも知れない。
ところが、中々、終わらない。
話が途切れたとき、はな平さんに話し掛けると、返事はしてくれるが、直ぐに二人の世界に戻ってしまう。
私は、同じことを、数回、続けた。
片や、菊生師は、何人もの女性を相手に、盛り上がっていた。

二人の内緒話が、ようやく終わった。
はな平さんに、「次の芝居の出演はいつですか」と、訊いてみた。
彼は、五月二日から九日まで、劇団の一員として、初舞台を踏んでいた。
「少なくても、五年間は空けます」との、返事だ。
大道具、小道具、衣裳などの費用が嵩み、持ち出しになったという。
だから、頻繁には無理らしい。
次に、文月・初演の会の予告から、はな平さんの名前が消えているので、その理由を訊いた。
七月は都合が悪いので、花緑門下の緑君(ろっくん)さんに、代演を頼んだそうだ。
メンバーの入替えではないという。

宴席は、盛り上がって来た。
馬桜師は、ウーロン杯一杯で、赤い顔をしている。
日頃は飲まない師匠が、たとえ一杯でも飲むのは珍しい。
はな平さんは、生ビールの後、ハイボールをお代わりしている。
今度は、馬桜師と菊生師が、話し始めた。
縦長の席の、時計で云うと十二時と六時の位置だから、十人の中では一番離れて座っている二人だ。
頭の上を、二人の声が飛び交った。
「最初はそのまま、次は葱を薬味に、最後は山葵です」と、馬桜師は、蕎麦の食べ方を講釈していた。
「山葵は、汁に溶いてはいけない。蕎麦に山葵を載せ、そこを箸で摘まんで食べる」と、続けた。
「蕎麦は、つけ汁にたっぷりと浸すのがいい」と、私は茶々を入れた。
「自分の好きな食べ方でいい」という趣旨だが、馬桜師へ私の真意が伝わらなかった。

お開きの時間が、近づいて来た。
離れて座った菊生師が、私に近づき、話し掛けて来た。
「お疲れ様でした」
私は、挨拶に応えてから、圓歌師匠のことを切り出した。
「圓歌師匠は、晩年、この近くのマンションに居たのですよね」
「私は、そのことを知らなかったので、師匠を訪問するのに、麹町界隈を探し回りました」
「鈴本演芸場に近いから、湯島を選んだそうですよ」
「師匠がマンション暮らしとは、どう考えても似合いません」
今回、菊生師と席が離れ、話す機会が無かったから、気を遣ってくれたのだ。

居酒屋の前で全員が揃うのを待つ間、今度は私から菊生さんへ話し掛けた。
「襲名の件、順調に進んでいますか」
「色々、あって・・・」
「大丈夫ですよ。時間が解決します」
「そうですね。有り難う御座います」
数年前に亡くなった、父親の名跡「古今亭圓菊」を襲名する話が、今、進行している。
勝手な想像だが、たくさん居る兄弟子の中に、異議を唱えた者が居るのかも知れない。
勿論、そのことに触れるのは、野暮と云うものだ。

全員が揃ったので、再会を期し、散会した。

   *****

写真
5月26日(金)の宴席 : 馬桜さん(右)・はな平さん(左)



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みのりさんへ

吾喰楽さん

こんにちは。

お酒を飲めない、ご婦人もいらっしゃいます。
それでも、皆さん、楽しそうです。

2017/05/31 13:02:12

飲み会

みのりさん

語喰楽さん

 落語のあとの飲み会
いいですね話が盛り上がり
そうですね

2017/05/31 09:44:53

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