或る女

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流老記

2017年02月06日ナビトモブログ記事
テーマ：テーマ無し

朝のうち晴れ、で
昼前から雲行きが怪しくなり
ときおり雨がパラつく。

ＰＣのメールに
昔の仕事仲間からお誘いが入る。

久し振りに
近況報告と昔話に花を咲かそうじゃないか、
とのこと。

今週末、
渋谷の○○で１９時から、で
参加予定者名簿と店の地図を付けてきた。

もとより行く気はないが
名簿の中のひとりに目が止まる。

３０年ほど前、
下請けのデザイン事務所に
美大を出て、
デザイナー見習いとして入社したＡ子。

麻雀をしないときは
デザイナーたち３～４人と
いつも渋谷で呑んだり、
後楽園で遊んだりしていたっけ
（その頃はまだ呑めていた）。

いつだったか、
渋谷の呑み屋で
Ａ子を怒鳴りつけたことがあった。

まあ、
酒が入っていたせいもあっただろうが、
Ａ子が美大出を鼻に掛けたように、
Ｂ社長や先輩デザイナーに対し
マチスがどうのゴーギャンがどうの、
みんなは勉強が足りない、
みたいなことを言って批判し始めた。

新人だし、女の子だし、可愛いし、
Ｂ社長以下苦笑いしながら、
酒癖悪いなあ…なんていなしていたが、
虫の居所が悪かったのかねえ
テーブルを叩き、
コップのビールをぶっかけて、
ガキのくせに…と怒鳴ってしまった。

翌日の朝、
デザイン事務所のＢ社長が
Ａ子を連れて謝りに来た。

俺は、
酒の上だったからなんてのは、
認めないぞ…
なんて、偉そうにそっくりかえって
プンプンしていた。（思い出しても赤面）

後で聞いた話によると
Ａ子は良いところのお嬢様で
親にも怒られたことがなかったそうで、
そうとうショックだったらしい。

その後、
みんなで呑みに行くと
必ず横に座るし、
料理は取り分けてくれるし…
気持ちが悪かったので
付き合っていた女のアドバイスもあり、
一定の距離を置くようになる。

半年後、
Ｋ子は事務所の先輩デザイナーと
駆け落ち同然に辞めたと聞き、
誰もが、やっぱりな、と思った。

その後の状況などは聞いていないが
今はもう５０代半ばのオバサンだが、
呼ばれて出席するようだから
それなりに安定しているのだろう。

何かの拍子に、
昔の出来事や人を想い出すのは
恥ずかしさより懐かしさが勝るもんだわさ。

態々のお誘い有難う御座います。
持病芳しくなく、明日をも知れぬ身なれば
折角のお誘いながら御辞退申上げます。
皆々様方には宜しく御伝え下さい。

なんて、返事を送信。

すると、
夕方にカメラマンから
メールではなく電話が掛る。

いきなり、
痔がひどくて死にそうなんだって？
Ｂから連絡があったよ。
それならそうと
言ってくれりゃあいいのに…

人伝えというのは、
人によってはすぐにでも
間違えるものなんだわさ。

痔持ちじゃないし、
それにもし痔で死んだら、
お前らいつまでも大笑いの種にするだろう。

何だ…つまらねえ、
面白いから、しばらく痔にしとけ。
明日、火鍋でも喰いに行くか？って
行かねえよ！