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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

小説その35 

2016年08月13日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


爽太は左折して、店の横にある駐車場へ車を進めたが、そこには5〜6人の人が集まっていた。どうやら爽太の到着を待ちわびている様子だ。
「今年は、オジサンなの?」その中の一人の女性が近寄ってきて言う。
昨年と人が違うので言った言葉に違いない。毎年買いに来る常連さんのようだった。
「そうです。どうぞよろしく」爽太は、まずは笑顔で答えた。
「トウモロコシは持ってきたかい?」別の男性が言う。
「もちろん、ありまあすよ」客が早くから待っていたことに爽太は心が弾んだ。
「キャベツ」「トマト」「ジャガイモある?」「レタスは?」次々と声がかかる。
「みなさん、ちょっとだけ待って、これからすぐに荷物をおろしますから」
爽太は、張り切って荷物を運ぶ。そしてあっという間にいくらかの野菜は売れた。
まずはオープンの張り紙を見た常連さんが何人かやってきたのだった。
爽太はしばらく前の通りを眺めていた。かなりひっきりなしに車が通り過ぎる。店の前を右に行くと草津温泉街があり、左へ行くと志賀高原方向へ向かう、ここは国道292号線。志賀高原方向から草津温泉を目指す客もいれば、草津温泉から軽井沢へと移動する客もいる。近くには草津に住む住人もいる。近くにスーパーマーケットもあるが、新鮮で安い野菜はやはり直売店にはかなわない。左右どちらからも通り過ぎる旅行客も駐車場が広いので入りやすい。目の前に広がる住宅地の向こうには山が見え、青空が開けて景色もいい。場所的にはどうやら好条件がそろっていると思われた。 
 
早朝からの客はそんなにいない。一人二人と客が来ていたが、しばらくは途切れていた。
そこに一台の車が駐車場に勢いよく入ってきた。車から降りて駆け寄ってきた男性は、思いもよらぬブログで知り合い、数回会ったことのある大山優だった。
「オープンおめでとうございます」グルジイのブログネームでみんなから慕われている大山優は笑顔で握手を求めてきた。予期せぬ出来事に嬉しくなった爽太は、グルジイの手を強く握り返し「ありがとう」を連発した。グルジイは、商売繁盛のお守りを爽太に手渡して、買い物は明日女房と一緒に来ますからと言って、ちょうど数人の客が来たので足早に去っていった。グルジイのお守りが効いたかのように、その後は客がひっきりなしにやってきた。自分たちの食料を買うため軽井沢へ行く日を除いて、毎日日替わり弁当を配達してもらうように草津の弁当屋に頼んでおいた弁当が届いても、それを食べる暇がないほどだった。その日売れ残ったのは大根とカボチャ、ジャガイモ、枝豆くらいで、ほとんどが完売した。午後3時、爽太は売り上げを計算して空のコンテと売れ残りをトラックに積み込み、帰路についた。青い空にぽっかりと浮かんだ白い雲があった。ゆっくりと走る爽太の軽トラックに爽やかな風が吹きこんでくる。売り上げは4万円をはるかに超えていた。
まず初日はうまくいった。爽太にはそれほど疲労感はなかった。基地に帰り荷を下ろしてから、村野に売上金を渡して畑へと急いだ。これからキュウリとモロッコインゲンの収穫作業が待っているが、爽太はこの収穫作業はあまり気が進まなかった。
しかし、これも乗り掛かった舟、気を取り戻して畑へと向かった。
 
 
 

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