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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

小説その33 

2016年07月30日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


野菜直売店オープンを前にして、社長は店を3時に閉めた後、キュウリとモロッコインゲンの収穫をしてくれという。爽太は自信がなかったが、社長も人材集めに苦慮しているようだったので、しぶしぶやってみることにした。
社長は私に3本のキュウリを見せて言う。
「浅間さん、よく見て頭にいれてくれよ」と言って大きめのキュウリを手に取り、
「これは大きくなりすぎたキュウリ、昨日採らなければいけなかったもの」
「これは、小さすぎで、明日採るもの」
「これが収穫する大きさ」
3本のキュウリを見て爽太は納得した。要するに店で売っているよく見る大きさを収穫すればいいので、簡単だと思った。
同じようにモロッコインゲンの説明も納得した。
もう少しで満67歳になる浅間爽太は、生まれて初めてのキュウリとモロッコインゲンの収穫を経験した。キュウリはよく見ると葉に隠れて見落とすものある。葉をかき分けて収穫するキュウリを見つける作業は、慣れないので手間取るが、植えてあるキュウリがそんなに多くなかったので、何とかなった。しかし、モロッコインゲンは、アーチ型のトンネルの中を、腰をかがめながら収穫するのでとても大変な作業となる。収穫したモロッコインゲンをコンテに入れていくが、コンテに半分くらいになると重くて運びだすのに一苦労だ。アーチのトンネルの奥の方へ行くほど、帰りの距離が長くなる。そして、このモロッコインゲンは、毎日毎日始末が悪いほど出てきて収穫は簡単には終わらない。
 
そして、いよいよオープン前日、爽太は実際に野菜の入ったコンテを車に積み込む練習だ。キャベツや大根は意外と思い。自分が植えたトウモロコシも、コンテに50本はいり、これもずっしりと重い。社長が繰り返し注意するのは、4段に重ねるコンテのこと。
しっかりと合わさればがっちりとかみ合って安定するが、少しでもずれてしまうと、ちょっとした振動でも外れて倒れてしまうという。爽太は何度も重ね合わせてみて納得した
が、毎日これを急いでやらなければならないので緊張することだろう、と若干の不安はあった。収穫された野菜と、社長が仕入れた野菜はコンテに入れられて用意されている手筈になっている。店の開店は8時、閉店は午後3時。7時に出発しなければならないが、積み込み作業があるので6時半には基地に着く必要がある。爽太は5時半ごろには起きなければならない。週に一度の買い物の日も、朝運んでおいてから留守番の人に託して買い物に行き、帰宅してからまた店に行き片づけて帰るということになる。暑い夏は始まったばかりだ。ひょんなことから野菜売りのオジサンを引き受けたが、さてさてどうなることか。爽太は期待と不安がいりまじって穏やかではない。しかし、疲労もあっていつの間にか眠りについていた。そして、7月18日日曜日、いよいよ爽太の運営する野菜直売店のオープンの日がやって来た。

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