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造花のカーネーション　

2016年05月07日
テーマ：テーマ無し

朝から晴れ、で
きょうも暑いぐらいだったが
風が強く
過ごしやすい一日。

商店街の花屋はもちろん
コンビニまで
母の日のイベントセール。

花屋の店先では
ここぞとばかりに
赤いカーネーションが並ぶ。


遠い遠い昔、
まだ小学生だったころ、
同級生にＡ君がいた。

母の日前に
あれは学校が配ったものか、
造花のカーネーションをもらった。

自分を含め
みんなは赤いカーネーションだったが
Ａ君だけが白いカーネーションで、
彼はもらうとすぐに机の下に…

母のない子は
白いカーネーション、だと知ったのは
すぐだった。

その日の夕方
小さな妹の手を引き
山の中腹にある村の墓地へ向かう
Ａ君の後ろ姿を見た。

彼の片手には
造花の白いカーネーションが…

ほどなくして
彼は転校していき
今では名前さえも思い出せないが、
日の落ちかけた山裾を
妹の手を引き
もう一方の手に
白いカーネーションを握りしめた
彼の後ろ姿は…
どんなに時が経っても
忘れることが出来ない。

自堕落な生活で
家庭を持てなかったのは当然だけれど、
家庭を持つことへの
潜在的な怖れがあったとしたら、
あの光景なのかもしれない。

死別はともかく
離婚流行りの今、
思春期にさしかかる男の子にとって
母親の存在は大事なんだけどなあ、と思う。

母親は男親の代わりができても
男親には母親の代わりを務めるのは
かなり難しいと思う。

男はみんな、マザコンだもの…

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