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北軽井沢 虹の街 爽やかな風

小説その18 

2016年04月01日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し


夏になるとクイーンランドを管理するクイーンランド興産が発行する小さな便りが配られる。何でも興味を持ってみる千恵子は、その中からさっそく「さわやかオーナーズコンサート」を発見し、事務所に行って申し込んでこいという。
 
暑いさなかでもここは標高が高く、また森の中なのでそんなに暑いとは感じない。
8月2日、爽太は千恵子とちょっとおしゃれして出かけてみた。
コンサートの場所は、クイーンランドの南側にある浅間湯本クイーンランドで、県道を挟んで向かい側にある全区画温泉付きの別荘地。その管理事務所にちょっとしたホールがある。別荘地の有志の人たちが受付にたっていたが、二人にとって誰も皆初対面だ。二人ともできるだけにこやかに、恐る恐る受付を済ませて中へ入った。このコンサートは5年前から開催されていて、今年は第5回だという。内山八次トリオは、ウクレレ、ギター、キーボードの3人で、どう見ても3人とも爽太とあまり変わらない同年配だと感じた。
コンサートが始まる前に、爽太はハッちゃん、ハッちゃんと呼ばれているリーダーの内山八次のところへ行き、会話している間に同じ年生まれであることを確認した。
冗談かと思って聞いていたら、内山八次の名前は、8月8日8時8分に生まれたからつけられた名前だという。前立腺がんを患ったが、元気にやっていると話すハッちゃんと、すっかり意気投合したまま、コンサートは始まった。ウクレレを弾きながら司会をして歌い、一人でコンサートを仕切るハッちゃん。歌声喫茶のような形で参加者全員が歌う楽しいコンサートになった。曲目も「神田川」「恋の街札幌」「北の旅人」「山のけむり」「白いギター」「昴」「霧の摩周湖」など古い歌がほとんどで、参加者の年齢を考えた曲目ばかり。
ハッちゃんの歌は、とても甘く哀愁にあふれていた。
「ハイ、誰か前に出て歌って」というハッちゃん。
千恵子は爽太のお尻を叩く。これは出ろという合図。前へ出ると「ハイ、浅間爽太さんね、皆さん、この人九州から来たんだって、物好きだね〜」。30人くらいの人たちがドッと笑う。爽太が何とか歌い終わると、「なかなかいい声してましたね、顔は悪いけど」ハッちゃんは、絶好調で会を進める。
休憩時間にビールやワインが振る舞われ、爽太もいつの間にか、ハッちゃんと対等に冗談を言うようになっていた。誰も知らないところへ来たのだから、何でも積極的に参加しなきゃ、という千恵子も初対面の人たちとにこやかに話していた。
爽太は、ハッちゃんに、ブログを書き始めたことを話すと、「皆さん、浅間さんはブログを書いているそうです、読んであげてください」と発言し、爽太のブログを紹介してくれた。すすんで前に出て歌ったり、ハッちゃんと冗談を交わしたり、楽しい会は夕暮れまで続いた。
この日以来、二人は内山八次夫妻と仲良しとなり、毎年のようにこのコンサートに出席し、楽しい会を盛り上げることとなった。人はみな、何事も積極的に参加することにより新しい道が開かれるものだ。この時二人はここに来てまだ二か月が経っていなかったのだ。
 

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