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敏洋’s 昭和の恋物語り

にあんちゃん 〜通夜の席でのことだ〜 (十五) 

2016年02月09日 外部ブログ記事
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「だって…」と嘆くほのかを援護してやれないもどかしさに苛立つ次男だった。
心情的には分かるのだ。
祖母を、これから旅立とうとする祖母を汚らしい物として見てしまったほのかの後悔の念は分かる。

 実のところ、次男自身も感じたのだ。
アンモニア臭の混じった老人臭が、シゲ子が寝込んだことにより部屋の中に滞留している。
そして何よりシゲ子自身が発しているのだ。
床に伏せっているシゲ子の手を握り返した時、シゲ子の目尻から一筋の涙が流れた。
「ありがとうね、ツグオちゃん」

 そんな声が聞こえた気がした次男だった。
そしてその時に、不良グループに入りかけた次男に対してかけてくれた言葉を思い出した。

同級生の一人が複数人の他校生徒に殴られたことへの報復行為が、問題となった。
グループ内では英雄視された次男だったが、相手によりひどい怪我を負わせたことが問題視された。
然もその因が、ゲームセンターでのトラブルだったこと、更には授業を抜け出してのこともあり、厳しい退学措置がとられた。

 道子がせめて停学措置にと嘆願したが、孝男は学校に顔を出すことはなかった。
私大出の教師如きに、なんで頭を下げなきゃならんのだ、と道子に告げる孝男だった。

その夜烈火の如く怒った孝男を制して、次男を諭してくれた祖父母の言葉を思い出した。
「悪事を働いたからといって、悪人とは限らないんだよ」

「悪いことをすれば、報いを受ける。いや、受けなきゃいかん。
そして善いことを続ければ、心が清められていくもんだ。
誰にも見られていないからいいやってもんじゃない。
お天道さまが、空の上から見てなさるんだ」

「婆ちゃん、ありがとう。今まで、ほんとにありがとう」
 心からの感謝を言えた次男だった。
そのことを、ほのかに話してやりたかった。
きちんとしたお別れがあの時にできなくても、お墓の中に眠る祖母に対して心から手を合わせてお祈りすればいい。
きっと分かってくれる。

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