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敏洋’s 昭和の恋物語り

にあんちゃん 〜通夜の席でのことだ〜 (六) 

2016年01月30日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



翌日のこと。
「きのうのお芋さんは美味しかったろう。ばあちゃんもね、おじいさんと美味しく食べたんだよ」
「きのうはよらずにかえったよ」

 誰かが食べたはずなのだ。
「ツグオちゃんだったかね」
「にあんちゃんは、ほのかといっしょだったよ」
 思いも寄らぬ返事が返ってきた。

「それじゃ誰だったんだろうね。ツグオでもないんだね。近所の誰かかしらね」
“まさかナガオが…。いやいや、あの子は寄りはしない”と、否定してしまった。

「あんちゃんだよ、きっと。夕食、めずらしく少ししか食べなかったから。
それに、もしにあんちゃんだったら、きっとぜんぶ食べてたよ。
にあんちゃんはね、目の前のことだけなの」

 愛くるしい目をクルクルと回しながら笑い転げる。
「にあんちゃんがね、永田のおばちゃんからもらったカステラをね、あんちゃんといっしょに食べたんだって。
『ほのかの分はあるんだろうな』ってあんちゃんが聞いたら『いっけねえ』なんだよ。
あんちゃんはさ、はじめにキチンと三とうぶんするんだよ。
ひとりじめには絶対しないの。みんなにびょうどうに分けてくれるの」

 嬉しそうに話すほのかに、
「ナガオはね、他人さまの評判を気にする子なんだよ。でもツグオはそうじゃない。自分にうそを吐かない子なんだね」
 と、次男をかばう。

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