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敏洋’s 昭和の恋物語り

にあんちゃん 〜二十年前のことだ〜 (五) 

2016年01月18日 外部ブログ記事
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 愚痴をこぼし合う相手には事欠かない。
孝男と同様に、他支店でも脱落者はいる。

そんな中に、入行当時には気が合わずに口論が絶えなかった江藤が居た。
本店での研修時にバッタリと顔を合わせた二人は、互いの愚痴をこぼし合うようになった。

「息子なんて、要らないんだよ。
考えてもみろよ、女房を取り合うライバルじゃないか。
まったく夫のことを顧りみなくなるんだ。
変な話、おっぱいをとられるんだぜ。
けどまあ、十年も経つと女もだめだな。しおれちまったよ」

 江藤に漏らした孝男の本音だった。

「面白いことを言うな、君は。
しかしあんな美人の妻女なのに、不満なのか? それは俺のセリフなんだがな。
けどまあ、俺は気楽なもんさ。
出世を諦めたら、ぱあっと世の中が開けたよ。
案外に銀行マンというのは、モテるものだからな」

 意味ありげな笑みを浮かべながら、孝男を夜の遊びへと誘い込んだ。

 しかしそんな孝男が、女児が生まれた途端に変貌した。
ことほのかに対しては盲目的愛情を示す孝男で、長男や次男に接する折とは全く違う表情や態度を見せる。
長男に対する接し方については、己の実子ではないからと思えないでもない。
しかし次男は、まぎれもなく実子なのだ。

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